「THE HUFFINGTON POST」を運営するザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループが、朝日新聞社との合弁会社を通じて日本版となる「THE HUFFINGTON POST in association with THE ASAHI SHIMBUN(ハフィントン・ポスト)」を公開した。
米国では月間4600万人が訪問し、記事を寄稿するブロガーは3万人以上。2012年4月には米国国内報道部門も受賞した読者参加型のウェブメディアだ。その成功の秘訣は、記事とその記事に対するユーザーのコメントを集約するプラットフォームを作ったことにあるという。
これまでの成功の理由や日本進出への意気込み、さらにはウェブメディアの今後について、ザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループのプレジデント兼編集長のArianna Huffington(アリアナ・ハフィントン)氏、CEOのJimmy Maymann(ジミー・メイマン)氏、合弁会社であるザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン 編集長の松浦茂樹氏の3人に聞いた。
メイマン氏:我々は新しい市場でメディアをローンチする際、必ず3、4社のメディアと話をします。その中でメディアの方向性が一致したというのが第ーの理由です。また、朝日新聞社が134年間メディアを続けてきたという歴史の重さは、いかに人々に信用されてきたかということの裏返しだと考えています。
2012年8月にロンドンで出会って初めてのミーティングをしましたが、そこで朝日の熱意が伝わってきました。今まで日本でビジネスをする際は非常に時間がかかっていました。ですので、ソーシャルニュースのような新しいビジネスであればなおさら時間がかかるだろうと考えていました。意志決定の早い国なら9カ月という期間もあり得ますが、1年半ほどはかかるだろうと。
ハフィントン氏:我々は数多くのユーザーを集めているので、広告主の欲しいマーケットが構築できているところが秘訣でしょう。
同時に我々は、メディアのイノベーションを起こしています。スポンサーシップサイトを作って、Johnson&JohnsonやGoldman Sachsといった企業のための新しいブランド作りをやっています(編集部注:企業やブランドのスポンサードでチャネルを作るような取り組みをしている)。
ヘアスタイルにエンターテインメント、健康といったところで、ユーザーが自らの意見を寄せるプラットフォームを作ったことも成功の要因です。人生、生活すべてをカバーしており、グローバルへのリーチもできる。国や人種を越えることもできます。
メイマン氏:広告自体のイノベーションという点で言えば、我々はニッチな人たちを拾い上げることに成功しています。最初は政治やニュースといったカテゴリだけでしたが、今では70以上の細かいグループができています。そこで広告の種類も増え、つながりが生まれるということも秘訣の1つです。
ハフィントン氏:駐米大使については、以前に会った際、ハフィントン・ポストでブログを書かないかと話をしていました。そのあと問題が起きた際には、自ら発信をしてくれました。出会った場ですぐ書いてもらうということではなく、常にプラットフォームとして存在しているので、駐米大使から学生まで、有名無名を問わず話をできるが利点です。
ハフィントン氏:2005年に米国でサービスを始めた際、同じような声がありました。2005年当時、ブログは一部の裕福な一部の人のためのものという印象でしたが、我々がその位置づけを変えたと思っています。
ブログでの発信が世の中にインパクトを与えるということが広く知られてきたので、有名な方、権力を持つ方が使いたいという風になってきました。日本でもそういう形になってくるのではないかと考えています。
メイマン氏:CEOや政治家、スポーツ選手など、発信する以上は聞いて欲しいという気持ちがあります。だからこそ我々が持つユーザーのリーチの広さが彼らを引き込んでくるでしょう。
またアリアナが話したように、2005年時点ではブログは成熟していませんでした。しかし現在では5万人のブロガーがいます。英国は1年半で5000人、日本でも24時間で50人のブロガーが増えました。こういう“革命”を起こすタイミングでしょう。人々も自分たちの話を聞いてほしいという状況です。
ハフィントン氏:まさにその乖離(かいり)をつなぐために我々がいると考えています。我々は重要な記事とブログの橋渡しができます。1つの物事に対して正しいかどうかを論じるかというより――おかしな議論にならないよう、ゲートキーパーが必要になるとは思いますが――誹謗中傷を排除した良質な言論空間を作っていきたいと考えています。
メイマン氏:ソーシャルツールを使ってニュースサイトを結びつけることこそがハフィントン・ポストに期待されていることだと思います。これまでのメディアは、あるスタンスに立って情報を発信してきました。なので人々と乖離(かいり)しているところがありました。我々はより民主主義的な立場を取りたいと思っています。そこにこそ我々の立ち位置があります。
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