月間2000万人のユーザーを抱えるレシピ情報サイト「クックパッド」。レシピの印象が強い同社だが、実は野菜の定期宅配サービス「やさい便」をはじめ、レシピの枠を超えたさまざまな“食”に関わるサービスを提供している。その中の1つが、2012年10月に公開した料理教室の情報検索・予約サービス「cookstep(クックステップ)」だ。
cookstepは、日本全国で開かれている料理教室を地域や駅ごとに検索・予約できるサービス。一般的な料理教室検索サイトは“料理教室”そのものを紹介することが多いが、cookstepでは開催予定の“レッスン”を探すことができ、ページ内で残席数もリアルタイムに確認できる。参加したいレッスンがあればフォームに必要事項を入力して、すぐに予約できる。参加後にレッスンの口コミを投稿することも可能だ。
「ABCクッキングスタジオ」など全国展開する大手の料理教室もあるが、目的に合わせて近所の料理教室を簡単に検索、予約できるようにすることで、料理教室に参加するハードルを下げたい狙いがあるという。
「クックパッドは献立の意思決定メディアだが、若い人を中心に料理の基礎が身についていないために、レシピ通りに作れない人もいる。それは時代の変化とともに親から子への“料理の伝承”が途絶えているから。社内でもチャレンジしたいことの中にずっと“料理を学ぶ”という領域があった」――クックパッド執行役の山岸延好氏はサービスを提供するに至った経緯をこのように振り返る。
これまで大きなプロモーションは実施してこなかったが、サービス開始から約半年ですでに3500を超える教室情報が掲載されているという。人気の料理教室も出てきた。広島県にある料理教室「のほほんうさぎの週末しあわせごはん」は、cookstepに登録してから生徒数が約3倍に増えているという。山岸氏は、月間2000万人が利用するクックパッドと連携することで、多くの料理教室が抱える“集客”の問題も解決できると自信をみせる。
料理教室に限らない使われ方も増えてきているという。「『東京の食材・日本酒』の相性体験会」は、日本酒の試飲や酒粕で作った料理などを試食することで“食を知る”ことを目的としたセミナーだ。自身が調理するわけではないため、料理な苦手な男性などにも人気だという。「親子の料理教室や農業体験、赤ちゃんの離乳食講座など、料理にかぎらず“食”に関するあらゆるイベントのプラットフォームにしていきたい」(山岸氏)。
今後は、現在未対応のクックパッドのレシピ機能との連携なども進めていく。また、これまではウェブ上の情報をベースに教室数を増やしてきたが、ウェブを使わず紙のチラシなどで参加者を募集している料理教室や、レストランで開催されているレッスンなどもあるため、今後はクックパッドユーザーからの情報提供なども募るとしている。さらに、将来的にはプロの料理教室にかぎらず、クックパッドのユーザー同士で気軽に料理を教えあえるようにしていきたいという。
山岸氏は「レシピにはさまざまなノウハウが詰まっているが、やはり最終的には五感で学んでいく。それがお母さんと一緒に料理を作って、隣で見ながら学んだりすることだと思う。レシピを見て自分で試行錯誤するのもいいが、見よう見まねで学ぶことで上達をさらに加速できる」とコメント。cookstepによって、料理教室を“カジュアル”に参加できる場にするとともに、ユーザーの料理の上達を支えていきたいとした。
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