従来型のコンピュータにとっては負荷が大きすぎる問題を量子コンピュータで解決できるかどうか検証するため、Googleが新しいリサーチラボを開設することになった。
米航空宇宙局(NASA)のAmes Research Centerに新設されるQuantum Artificial Intelligence Labに、D-Wave Systemsが作る量子コンピュータが設置される予定だ。このスーパーコンピュータはUniversities Space Research Associationによって運営され、世界中の研究者が自分のプロジェクトに利用することができる。
Googleは米国時間5月16日付けの公式ブログに、「量子コンピューティングでいかに機械学習を進展させられるかを研究すること」が目的だと記している。
従来型のコンピュータは1と0を使った計算しかできないという制約を抱えており、そのため現実世界で起きている問題を解決するのは不得意な面がある。これに対して量子コンピュータでは、量子ビット(キュービット)と呼ばれる構成要素を数百個保存できるチップを利用する。The Wall Street Journal紙によると、D-Waveのスーパーコンピュータは1つのチップに512キュービットを収めるという。
量子力学の世界は奇妙なところが多く、個々のキュービットは1と0のどちらかだけでなく、同時に両方を重ね合わせた状態を持つことも可能だ。これを利用することで、量子コンピュータは従来のコンピュータをはるかに超えるレベルで計算したり情報を保存したりできる。
Googleのエンジニアリング担当ディレクターであるHartmut Neven氏は公式ブログに、「機械学習では、世界のモデルをさらに優れたものにして予測の精度を高めることに全てがかかっている」と記している。「病気を治療したいのであれば、その進行の仕方を表すより良いモデルが必要になる。環境について効果的な施策を作り上げるには、気候に今起きていることに関するより良いモデルが必要だ。もっと役に立つ検索エンジンを構築したいのなら、最も適切な答えを得られるよう、口頭での質問やウェブ上にある情報をもっと良く理解必要がある」
D-Waveによると、ラボの設置は既にAmes Research Centerで始まっているといい、研究者がスーパーコンピュータを利用できるようになるのは2013年第3四半期頃だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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