オリエントコーポレーション(以下オリコ)とビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下ビザ)は5月16日、NFCによる非接触型決済サービス「Visa payWave」の日本での提供開始を発表した。Visa payWaveを採用するのは、カードやモバイル端末を含め、国内初。同サービスを搭載したクレジットカード「OricoCard Visa payWave」(年会費1312円、初年度無料)の発行受付は5月17日から、オリコのウェブサイト限定で行われる。
Visa payWaveは、高いセキュリティと利便性を実現する「EMV」技術を用いた、NFC技術による後払い方式の決済ソリューションの1つ。少額取引時の決済スピードや安全性の向上が期待できる仕組みとして、2013年1月現在、北米、欧州の一部、シンガポール、韓国など、すでに世界41カ国で普及が進んでいる。
今回OricoCard Visa payWaveの登場によって、日本国内でVisa payWaveを利用できるようになるだけでなく、海外の加盟店でもそのまま使うことが可能になる。加盟店の業種などによっても異なるが、たとえばスーパーマーケットなどでは1万円未満の少額決済時であればサインなしで利用できるという。
Visa payWave自体は、プラスチックカードだけでなく、キーホルダ型のガジェットや、スマートフォンなどのモバイル端末にも応用可能で、ビザとしては、スマートフォン対応アプリの提供も2013年中を目処にスタートしたい考え。
店頭に設置するVisa payWave対応の読み取り端末の現在の台数や、今後の目標普及台数については公表できないとしながらも、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ファーストフード店、ガソリンスタンドといった、少額決済や決済スピードが求められる店舗を中心に、その店舗のPOSシステムの入れ替えタイミングなども考慮に入れながら普及拡大を目指すとしている。
発表会では、ビザ代表取締役の岡本 和彦氏が、Visa payWaveが国内外を問わず利用できる国際標準の非接触決済システムであることを強調。
非接触決済においては日本は先進国でありながら、国内でしか使えないシステムになっていることを指摘しつつも、最近になって国内でもNFC対応のスマートフォンやクレジットカードなどが普及し始めていることから、グローバル化の準備が整ってきていると判断。「今年をVisa payWave元年ととらえて、少額決済分野において世界中で活用できるソリューションを日本国内で展開していく」と語った。
次にVisa payWaveの詳しい紹介に立ったビザ新技術推進部ディレクターの鈴木章五氏は、店頭での商品購入時にかかる時間のシミュレーション結果を公表。現金支払いの場合は12~14秒ほどかかるのに対し、Visa payWaveを利用した場合は4~6秒と、すでにあるプリペイド型の電子決済サービスや、ドコモのiD、QUICPayといった後払い方式と同様、大幅な決済時間の短縮が見込めることを示した。
日本は他の先進国に比べてクレジットカードで支払う率が低く、個人消費においては全体のおよそ14%ほどという。これはサウジアラビアやフィリピンの13%とほぼ同等であり、韓国の83%、中国の72%はもちろんのこと、米国の36%をはるかに下回る数値。したがって、同氏は、日本のクレジットカード取引がまだ成長の途上にあると見ており、これからの伸びが大きく期待できるものと見ている。
同社の分析によれば、5000円以下の個人消費の対面取引は、日本国内で約100兆円もの規模があるにも関わらず、現在は90兆円以上が現金支払いとなっているという。しかしながら別の調査では、2007年から2012年にかけ、少額決済での電子マネーの利用率が3~4倍に増加しているという結果も出ており、ビザとしては「単価5000円以下の日常分野での電子決済化を図る」ことを目指し、今回のOricoCard Visa payWaveを皮切りに、国内におけるVisa payWaveの利用を促進していく考えだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス