Salesforceは、ウェブコンテンツのクリッピングと共有サービスを手掛けるClipboardを買収する契約を締結した。両社が米国時間5月9日に発表した。
買収金額は明らかにされていないが、AllThingsDのLiz Gannes氏の推定では、1000万~2000万ドル規模になるという。
ワシントン州ベルビューを拠点とするClipboardは、人々が「関心を持つウェブのパーツを保存および共有」できるようにするという使命を掲げ、2011年1月にサービスを開始した。Clipboardはブックマークレットを使用することで、ユーザーが検索クエリの結果や地図、株価、TwitterやFacebookのステータス情報、画像、動画など、多数のアイテム、すなわち、ウェブページの全体ではなく、ウェブサイトの構成部分を「クリッピング」することを可能にした。クリッピングした箇所は、注釈を付けたり、共有したりすることができた。
ClipboardはSalesforceによる買収について、同社の顧客向けのメモで「ほろ苦いもの」と呼んだ。
salesforce.comがClipboardの買収契約に署名したことを発表することができ、非常にうれしく思う。これで、われわれはウェブの保存と共有を実行するという使命をより大規模に進めて行くことができる。しかし同時に、われわれの画期的な取り組みにおける現段階が終わりを迎えることを残念に思う。特に、このことが当社と皆さん、つまり当社ユーザーとの関係が、もはや後戻りできない変化を遂げることを意味するからだ。
今後変更される点は、Clipboardのサービスが2013年6月30日をもって打ち切られることだ。同社が「単一プラットフォームに注力することで、Salesforceの中で新機能を構築できるようにするためであり、こうしたことはClipboardの運営を維持しながら実行できることではない」というのがその理由である。
(このニュースを聞いてEvernoteやMemonicの人々はどう思っているのか、知りたいところだ)
Clipboardの既存ユーザー(全体で約14万人)のデータは、「個人用のアーカイブ」に保存される予定だ。情報の閲覧、エクスポート、削除はこのアーカイブから実行する。すべてのデータは、サービス終了後まもなく削除される予定だ。
創設者であるGary Flake氏は同社ブログへの投稿で、「さよなら」と簡潔に述べた。この意志の強い顔立ちの起業家は、かつてOverture Servicesの幹部を務め、YahooのResearch Labs(Yahooが2003年にOvertureを買収して設立した組織)やMicrosoftのLive Labsの創設にも携わった。Flake氏は今後、エンジニアリング担当バイスプレジデントに就任し、自身が率いるチームとともにSalesforceのシアトル事業所を拠点とする予定だ。
Clipboardは、数多くの著名なベンチャーキャピタル企業とシリコンバレー投資家らによる支援を受けていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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