「Binders Full of Women」というFacebookのパブリックページが米国時間4月19日早朝、行方不明のブラウン大学の学生が先週のボストンマラソン爆破事件の容疑者であるというボストン市警の無線通信の誤った内容を投稿したことについて謝罪した。Binders Full of Womenのフィードに文章を書いている人物はその後、問題の投稿を削除した。その前、18日夜にマサチューセッツ州ウォータータウンで始まり、そのときはまだ進行中だった犯人捜索と銃撃戦に関するほかの複数の投稿の合間に、問題の投稿を執筆した人物は、いかなる誤報も許されるべきだと自己弁護し、その理由を「わたしはジャーナリストではない。(ボストン市警の)無線やさまざまなニュースソースから得た情報を中継しているだけだ」とした。
しかし実際のところ、米国における女性の権利問題を専門に扱うパブリックページが、容疑者捜索に関する一切合切の情報をFacebook上でリアルタイムブログのような形式で伝えているのはなぜなのか。だが、過ちを犯したのはこのFacebookページ(31万9000人のフォロワー全員が同じ誤報を受け取った)だけではなかった。
ヒップホップカルチャーとニュースを扱うブログ「Global Grind」のMichael Skolnik氏も、無線の会話を聞いているときにふと耳にした名前を公表したことをTwitter上で謝罪した。その名前は、同じく警察無線で聞いた人や、オンラインで見つけた情報をリツイートしたほかの多くのユーザーによってツイートされている。
また、Redditのモデレーターたちは、同サイトのコメント投稿者コミュニティーが当初、容疑者の可能性のある人物として学生のSunil Tripathiさんを標的にし、警察無線でTripathiさんの名前が出てきたというニュースを繰り返したことがきっかけで、大きな連鎖反応が始まったことを謝罪した。
一方、ある高校生のトラックランナーは家から出るのを恐れている。クラウドソーシングで集められた写真とThe New York Postによって、容疑者の可能性がある人物と誤って特定されたためだ。不幸にもこの青年は18日夜、ウォータータウンで短期間拘留されて尋問を受け、後に釈放されたが、その前にはTwitter上の至るところで「地面にうつぶせになった容疑者」とされていた。
速さが現代の情報時代における通貨だとするならば、誤報の代償はますます高まっている。Paid ContentのMatthew Ingram氏のように、ジャーナリズムの質は複数の情報源によって向上すると主張する人もいる。確かに、CNNのようなメディアによる目立った誤報(と時折行われるばかげた報道)やThe New York Postによる全く無責任なジャーナリズムは、Ingram氏らの主張が正しいことを示唆しているようにも思える。
だが、そうではない。情報は増えたが、それは真実、一部だけ真実の情報、かつて中傷と呼ばれていたものの集合体である。速いが質は低い。誤報は増殖し続けるがん細胞だ。筆者はIngram氏と反対の意見を持っている。つまり、Twitterからのリアルタイム報道、Redditからのクラウドソーシング、そして経験的に否定的な考えと批判に傾くオンラインコミュニティーからの絶え間ない嘲笑という猛烈なプレッシャーは、実際にはジャーナリズムに悪影響を及ぼすものだ。それはあらゆるニュースの質を下げている。
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