福岡で開催中のB Dash Camp 2013 in Fukuoka。1日目最後のセッションには、韓国Kakao Corporation CEOのSirgoo Lee氏が登壇。ヤフー 検索事業責任者の宮澤弦氏がモデレーターを務めるなか、メッセージングアプリ「カカオトーク」の誕生までのストーリーと、これからについて語った。
Kakao Corporationの前身となる企業は2006年12月に立ち上がった。「Buru.com」「Wisia.com」といったサービスを提供したものの、大失敗に終わったという。
その失敗で会社をたたまないといけないという頃、韓国でスマートフォンが登場した。2009年11月だったという。そこで同社はこれまでのサービスのコードを全部捨てて、アプリサービスの開発に転換した。
ただアプリを開発するのではない、みんなが使う「キラーアプリ」の提供を目指したという同社。テレビに放送、PCにサーチ、といったスクリーンとキラーコンテンツの組み合わせを振り返る中、スマートフォンでは「コミュニケーション」こそが大切だと考え、カカオトークを開発するに至ったという。
カカオトークが韓国で「キラーアプリ」となった1番の理由は、無料でのメッセージだ。韓国ではSMSが有料だったこともあり、無料でのメッセージ送信こそが人気を集めた。2番目はグループチャット。SMSは1対1の会話しかできないが、カカオトークでは複数人でのやりとりが可能になる。
カカオトークのユーザー数は現在8600万人。デイリーアクティブユーザー(DAU)は2900万人。1日で交わされるメッセージは48億件に上る。ビジネスはゲームやコマースが中心。2012年の売上高は4200万ドルで、利益は650万ドルという初の黒字決算を達成した。
カカオトークが目指すのは、モバイルに特化したプラットフォームだ。「世界を見渡すと多くがプラットフォームを目指すと言っているが、我々はモバイルに特化したい」(Lee氏)。
プラットフォーム化のために展開した1つの施策がゲームだ。2012年8月にローンチしたが、今ではAndroidで100個以上のゲームアプリがある。Google Play上の全世界の売上トップ10アプリのうち8つが同社のプラットフォームのものだという。
同社のゲームが人気を持つきっかけになったのはパズルゲームの「Anipang」だ。韓国の人口が5500万人の中、2000万ダウンロードを達成したという。同アプリのDAUは1000万人。似たようなゲームがある中人気を集めた要因は「ソーシャルな要素」にあった。カカオトークの友人とインタラクションが持てる、友人同士でスコアを公開する、ということで、競争心に火がつき、人気を博したという。
だがLee氏は「このゲームの人気は始まりに過ぎない」と語る。「ソーシャルの機能は他のコンテンツにも影響を及ぼせる。本やECなども考えている。自分の買った物は友達も買いたくなる」(Lee氏)。同社では、今後3年の間に同社のプラットフォームで利益を上げられるパートナーを100万社出したいと考えている。
以下、宮澤氏がLee氏に質問する形でセッションが進められた。
宮澤氏:韓国ではほとんどのユーザーが使っているサービスだが、日本ではLINEが強い。ヤフーとの取り組みに満足しているか。
Lee氏:非常に満足している。
宮澤氏:カカオは4人チーム、2カ月で結果を出さないといけないという取り組みがある。これから生まれたのがカカオトークだと聞いた。
Lee氏:カカオトークはもともと2カ月4人のプロジェクトで作ったサービス。ただ、今は8600万ユーザーが居るので、なんでも4人でできるわけではない。今は比喩的に言っている。重要なのはなるべく少ない人数で、最速で開発するということ。走りながら改善を続けないといけない。
宮澤氏:Facebook Homeの様な戦略を考えていると聞いた。
Lee氏:Facebookを抜けたらいいが、それを目指すのは難しいと思う。PCと同じで、スマートフォンを立ち上げたスクリーンはインパクトがある。PCを立ち上げたときの画面が重要だったが、それと同じことがモバイルでも起こると思う。
なので、ユーザーがすぐにカカオトークにアクセスできるようなフィーチャーは必要。Faceboo Homeとは違うが、ユーザーには便利と思えるものを作りたい。
宮澤氏:(会場に居たLINE代表取締役社長の森川亮氏に対して)LINEではどう見ている?
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