「プレゼンテーション」をすると言うと、「いかに聞き手に内容を伝えるか」ということにばかり注力しがちだ。しかし、プレゼンテーションとは、単に言いたいことを聞き手に伝えるだけではなく、聞く人それぞれの想像をかきたてたり、新しい発見を促したりする「表現」であるべきだ、というのが本書の考えだ。聞き手がわくわくする「創造的プレゼンテーション」とは、いったいどのようなものか。
本書では「プレゼンテーション」という言葉の定義が示す範囲を広く考えている。演劇や演奏、ダンスやスポーツの試合など、人前で表現すること全般を指している。この定義を読めば、プレゼンテーションに求められるものが、単なるスライドをめくって順番に話すことだけでないことが分かる。
お手本は、TEDのプレゼンテーションだ。続きが気になるようなストーリーがあり、驚くような展開があり、思わず聞き入ってしまう立ち居振る舞いがあり、考え込むような問題提起があるプレゼンテーション。本書には、34個のプレゼンテーション・パターンが掲載されているので、自分に合ったパターンを1つ取り入れるところからやってみるといいかもしれない。
とはいえ、付け焼き刃で実行できるものではない。映像でお手本を研究し、自分の場合はどうするのが良いか、どこを改善するべきかを客観的に見て、練習する必要があるだろう。「魅せ方の美学」など単なるスライドの作成法などではないプレゼンテーションのヒントは、大いに参考になる。
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