Mark Zuckerberg氏と仲間たちは米国時間4月4日に「Facebook Home」を発表したとき、同社にとってユーザーデータの持つ重要性が高まり続けていることを実際よりも控えめに見せようとした。Facebookに魅せられている人々はHomeを大変気に入るかもしれないが、そこではユーザーのプライバシーはまったく歓迎されない可能性が高い。
Facebookはユーザーのプライバシーを尊重する新製品や機能を開発するという評判を築いてきた。その後ゆっくりと、ときには極めて巧妙に、ときには巨大な古代生物マストドンのように不器用に、それらのポリシーを、明らかにプライバシーをそれほど尊重しない状態に戻してきた。
Facebook Homeがそれとは違うものになることを示す兆候はほとんどない。4日の発表の後に行われたFacebook Homeに関する質疑応答で、Zuckerberg氏は「分析は匿名で行われ、ユーザーベースの0.5%に対して使用される」と述べた。それはGoogleやAppleと同じだ、と同氏は付け加えた。そう言われると、読者もそれは妥当だという印象を持つのではないだろうか。
注意しなければならないのは、ユーザーがFacebookで共有すればするほど、Facebookはそのユーザーについて多くの情報を得るということだ。そしてFacebook Homeの狙いは、ユーザーがより多くの情報を共有したくなるように仕向けることである。
プライバシーとセキュリティの研究者であるAshkan Soltani氏もこれに同意する。Facebook Homeは受動的なデータ収集と能動的なデータ作成活動(Facebookで「Like」を付けることなど)の間の溝を埋めるものだ、とSoltani氏は説明した。「それはユーザーのデバイス上で行われるあらゆるインタラクションの中央に位置する」(Soltani氏)
「ユーザーがFacebookやFacebook関連サービスで行うインタラクションの回数が増加する。ユーザーが自発的にインタラクションを行う回数が増加する。Facebookがすべてのユーザーについてそれが誰であるかを記録するとは思えないが、自発的なインタラクションやチェックイン、投稿へのLikeは記録するだろう」(Soltani氏)
Soltani氏はそれを「Pornado」に例えた。Pornadoとは、ポップアップブロッカーが実装される前に、ユーザーのマウスにつきまとってウェブサイトを悩ませていた大量の違法ポップアップ広告のことだ。「Facebook Homeはそれと同じことをするだろう。Facebook Homeではユーザーは常にFacebook上にいることになる」(Soltani氏)
一方Facebook側は、Facebook Homeを利用することと、Facebook.comやFacebookモバイルアプリを利用することの間にそれほど大きな違いはない、と話している。Facebook Homeには、Facebookのほかの部分と同じデータ使用ポリシーが適用される。そして同社は、Facebook Homeでのデータ使用およびプライバシーに関する懸念について書かれたブログ投稿の中で、同社が収集するデータについて変わったことや新しいことは何もないとした。
Facebookのほかの部分と同様に、Homeはユーザーがこのサービスでインタラクション、つまり投稿へのLikeやコメント、メッセージの送信を行った場合に情報を収集する。またユーザーが同アプリを利用する方法に関するほかの情報を収集することもある。例えばFacebookは、ユーザーがHomeアプリランチャー内に表示させているアプリのリストを保持している。われわれは識別が可能な形式でこの情報を90日間保存し、それをサービスの提供とその機能改善のために使用する。
Homeがプレインストールされたデバイスの場合、Homeはシステム通知を表示することもできる。つまりHomeはユーザーの携帯電話上のアプリからの通知も表示する。これらの通知はHome内に表示されるので、Facebookはそれらの通知についての情報も収集するが(どのアプリが通知を発信しているのかなど)、通知の内容自体に関する情報は収集しない。われわれは90日が経過した後、識別が可能な情報をこのデータから削除する。
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