3月25日~3月31日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
4月1日から新学期、新生活がスタートする。世界的にも、新しい四半期の始まりだ。振り返ってみると2013年第1四半期のAppleは例年通りさまざまな情報や噂が流れ、期待などが寄せられていた一方で、Apple自身が大きな製品のアップデート等を行うことはなかった。
2012年はRetinaディスプレイを搭載したiPad 3(新しいiPad)が登場し、これに伴ってiBooksのアップデートとデジタル教科書を編集できるiBooks Authorがリリースされたが、今年の3月には大きいサイズのiPadに関しては何の動きもなかった。
第2四半期については、例年であれば、6月に年次開発者イベントWWDCが開催されるが、これまでの間に何らかの発表が行われるだろうか。
それでは先週のAppleニュースを振り返ってみよう。
Appleは昨年のiPhone 5発売以降、サプライヤへの部品発注の減少やiPhoneやiPadによる市場支配の継続性への疑問から、一時700ドルを超えていた株価が400ドル台へと下落して2012年を終えた。しかし2012年第4四半期、つまり株価下落やネガティブな報道に悩んでいた頃のiPhone 5の売上データはめざましく、米国でSamsungを越えるシェアを獲得。また日本でも、市場の6割を占めるなど、2012年末のiPhone 5の販売状況は非常に良かったと言える。
これらのデータを補足・補強するデータが現れている。iPhoneなどを組み立てるFoxconnでは、同社の第4四半期の利益が12億ドルと予想を上回り、過去最高を記録したという。また、IDCの調査によると、ネットに接続されるスマートデバイス市場において、タブレットの成長などもあり、シェアではわずか0.9%差でAppleがSamsungを追い上げている。同市場での総売上は、高付加価値戦略によって、既にAppleが30%を超えるシェアを獲得し、トップを守っている。
これはAppleに限ったことではないが、タブレット、スマートフォンが成熟し、中国のメーカーなどが成長してくると、より厳しい価格競争に陥ることは言うまでもない。高付加価値路線を貫いてきたAppleは、「次」に対する成長戦略を明らかにする必要がある。2013年第2四半期は、戦略を発表するにはよいタイミングと言えるかもしれない。
Foxconn第4四半期決算、同社過去最高の利益を計上(3月26日)もしiPhoneがこれからさらに成長しようと目論むなら、NTTドコモと中国のChina MobileでiPhoneを販売することはよい選択と言える。
ドコモでiPhone販売がスタートしても、既にiPhoneを手にしているユーザーは1年~2年は現在の携帯電話会社を使い続けることになっており、またネットワークの品質も拮抗しつつあるため、ドコモが販売を開始しても直後にAppleが望むようなめざましい結果を上げることはないだろう。しかし、China Mobileは違う。世界最大規模のモバイルキャリアであり、iPhoneへの潜在顧客の数は1億人を超えると見られているからだ。
しかし他の企業と等しく、Appleも中国市場への対応はさまざまな面で苦慮している様子がうかがえる。
AppleがSamsungを相手に展開している知財については、中国スタンダードで商標や特許の侵害の訴訟が起こされる。過去にiPadの商標で6000万ドルの和解金を支払った経緯もあり、第2、第3のProviewになろうと訴訟は次々に起こされている。また、App StoreやiTunes Storeでの著作権問題。版権を持っているプロダクションや出版社が、海賊版等の販売の責任をAppleに採るよう求める訴訟も過去から起きている。
そして先週のニュースでは、今度は中国共産党の機関紙がAppleの修理・保証ポリシーの対応への不満など、Appleに批判的な記事を3日連続で掲載している。難しい市場である一方で、戦略的に無視することができない中国市場、Appleはどのような舵取りを行うのだろうか。
中国共産党機関紙がアップル叩きを再開(3月28日)AppleのMac Proアップデートの問題は昨年から欧州、米国、そして日本でも批判の対象になっていたが、Tim Cook CEOは「2013年に素晴らしい新製品を」というコメントを伝えている。そのタイミングがいつになるのかは分からないが、ちょうどよさそうなタイミングが今かも知れない。
米国では放送機器に関するカンファレンスと展示会「National Association of Broadcasters Show」(NAB Show)が4月6日から11日まで、ラスベガスで開催される。これに合わせるように、AppleはFinal Cut Pro Xのコマーシャル動画を公開し、またアップデートをリリースしている。Mac Proは映像分野でのプロユースも多く、重要なターゲットの1つとなっている。NABへのAppleの出展はないが、タイミングを合わせてウェブサイトでの発表もあるかも知れない。
また、ユニークな技術やデバイスについてのニュースも流れている。スマートフォンとWi-Fiを使い、建物内でリアルタイムに2.5mの精度で現在位置や友人の位置を特定する技術を開発しているWiFiSLAMをAppleが買収した。
ご存じの通り、GPSは空が見えていなければその位置を特定できない。スマートフォンは現在、携帯電話の基地局やWi-Fiを活用して位置の補正を行っている。WiFISLAMの技術を使うと、より積極的に屋内の詳細な位置情報を活用できるようになると見られている。
これを真っ先に試すとしたら、世界中にあるApple Storeでの顧客サービスからスタートするのではないだろうか。現在もApple Storeアプリは、ユーザーがどの店にいるか、店員のサポートは何人待ちか、と言ったサービスを提供しているが、店のどこでユーザーが困っているのかを特定すると言った使い方は想像に容易い。
その他にも美術館や体育館などの場所での位置情報特定が可能になると、さまざまなアプリのアイデアが拡がる。この技術をiPhoneやiPadアプリにAPIとして提供することで、アプリ開発者が屋内位置情報を活用したさまざまなアイデアを試せるようになるはずだ。
またゲームコントローラーの噂が再浮上するニュースも先週流れた。個人的には、iPhoneやiPad以上に、Apple TVとの組み合わせで何か面白いことが起きないか、と期待している。
アップル、スマホの屋内での位置を特定する技術を開発するWiFiSLAMを買収(3月25日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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