新しい世代の携帯電話が発表されるたびに大規模な変化を期待するのは、無理な注文なのだろうか。「iPhone 5」と「GALAXY S IV」から判断すると、その答えはイエスだ。
GALAXY S IVの詳細が発表されてから約1時間しか経過していない時点で、既に多くのレビューが掲載され始めた。GALAXY S IVは革命的というよりも発展的な携帯電話だ、というのが全体的な評価のようだ。ハードウェア設計は最新かつ最高の部品で改善されたが、外観はそれほど変わっていない。ほかの機能も非常にクールだが、それらがどれだけ役に立つのかは不明だ。
これらの初期の反応がそれとなく提起しているのは、サムスンは到達すべき水準をどれだけ上げ続けられるのか、そして、われわれは皆、新しい世代のスマートフォンが発表されるたびに大きな革新を期待しすぎているのか、という疑問だ。もちろん、GALAXY S IVはまだユーザーの手に渡ってさえいないが、テクノロジの世界では、将来のことを考えるのに早すぎるということはない。そしてサムスンにとって、それは極めて重要だ。
IHS iSuppliのアナリストであるWayne Lam氏は、「この5年間、革新のペースがあまりにも速すぎたので、新世代の製品が発表されるたびに革新の度合いは小さくなるという問題に皆が直面している」と述べる。「あなたは次に何をしてくれるのか。あなたはこれまで何度も私を驚かせ、可能な限りの革新的テクノロジを追加してきたが、これからは、どのようにして私を驚かせてくれるのか」(Lam氏)。
携帯端末市場は非常に気まぐれだ。BlackBerryやNokia、Motorola、HTCがいかに短期間で購入者の支持を失ったかを考えてみてほしい。それらの企業はスマートフォン市場において、早い段階で失敗を犯した。それは、一部の企業が市場からの撤退を余儀なくされてもおかしくないほどの過ちである。それらの企業は昨今、素晴らしい携帯電話を構築しているが、人々は依然としてそれらを購入していない。JefferiesのアナリストであるPeter Misek氏は先週、投資家に宛てたメモの中で、Appleも急いで革新に取り組まなければ同じ運命を辿る可能性がある、と推測した。
サムスンが同社の小規模なライバルの数社と同じ立場にいると示唆しているわけではない(そして、米CNETはAppleもその立場にいるとは考えていない)が、それはサムスンが認識しておかなければならないことだ。1つ失敗を犯したからといってサムスンが倒産するわけではないが、その失敗は、重要な携帯端末市場における同社の展望に長期的な影響を与えるかもしれない。
おそらくGALAXY S IVはサムスンがこれまでにリリースした製品の中で、最も大きな注目を集めている製品だろう。そして全体的に見て、GALAXY S IVは優れた携帯電話だ。同デバイスは「GALAXY S III」によく似ているが、サムスンは部品やカメラを改善し、スクリーンを大型化した。そしてソフトウェアのアップデートは本当に傑出している。しかしそれで十分だろうか。そして、ときには単に注意を引くための仕掛けにしか見えないこともある、それらの機能すべてをわれわれは本当に必要としているのだろうか。また、サムスンが米CNETに話したように、ユーザーが本当にそうしたソフトウェア機能の多くをGALAXY S IIIでも利用できるのだとしたら、それらのユーザーをGALAXY S IVの購入に駆り立てるものはあるのだろうか。
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