Trailer ParkはAppleの長年の顧客で、450人の従業員が約300台のMac Proを使っている。このハイエンドマシンの用途は動画の編集やグラフィックス作業などだ。Miguel氏は、同社は必要性があれば新しいコンピュータの購入を控えるようなことはしないが、それが多数のユーザー向けである場合は、注文を延ばすだろうと語った。「プロセッサのインクリメンタルアップグレードしか行われないのであれば、われわれがそれに注意を向けることはない」(Miguel氏)
2012年6月にMac Proに対して行われたのは、まさにそうしたマイナーアップグレードだった。新しいマシンでは、複数の入力テクノロジや内部テクノロジの改善や追加が行われなかった。たとえばUSB 3.0は追加されなかったし、ハードドライブにより高速な「Serial ATA」テクノロジが搭載されることもなかった。さらに、Appleが2011年初めからほかのコンピュータすべてに搭載を開始している、高速な接続テクノロジ「Thunderbolt」も搭載されていない。
こうしたものが搭載されなかったことは、ハードウェアへのAppleの力の注ぎ方の変化を最もよく示す例の1つかもしれない。Mac Pro(以前は「PowerMac」だった)は発売されて以来、長年にわたってMac製品の中では最初に新機能が搭載されていた。2006年には、Appleの製品としては初めて、Appleの開発者向けキットの一部として、Intelのチップへの変更が行われた。そしてしばらくの間は、Appleの「SuperDrive」テクノロジやUSB 2.0といった、ほかの新機能も最初に搭載されていた。
現在では状況は逆転している。最新のテクノロジがほしければ、別のMacを選ぶ必要がある。Appleの論拠はシンプルだ。デスクトップよりノートブックを買う人の方が多いからだ。そしてAppleが販売するデスクトップの中で、Mac Proが占める割合は非常に小さい。実際の販売数は、Appleは公表していない。過去10年分の販売台数を見れば、どこが分岐点になったのかははっきりと分かる。
では、なぜMac Proを買うのだろうか。最近は大きなアップデートが行われていないにもかかわらず、Mac Proにあって、Appleのほかのノートブックやデスクトップにはないものが、まだいくつかあるからだ。Mac Proにはデュアルプロセッサがあり、ストレージは最大8テラバイト、RAMは64Gバイトと、どちらも最新の「iMac」の2倍はある。それが可能なのは、そのためのスペースがあるからで、そのすべてを1つの箱に収めることができる。
「自分の机に外部ストレージを置くのは大嫌いだ」とBorella氏は言う。「Mac Proがあれば、1つのマシンをオンまたはオフにするだけで良く、ケーブルをあれこれとつなぐ必要がない。iMacではそうはいかない」
ほかのAppleのコンピュータにはないテクノロジもある。コンピュータのグラフィックカードをアップデートするための複数のPCI Expressスロットや、2台の光学ディスクドライブ、そして通常は大規模なストレージシステムと接続するために使われるFibre Channelネットワークポートなどだ。
Appleは次のMac Proについて、それが2013年に登場することと、「本当に素晴らしい」ということ以外、ほとんどヒントを与えてこなかった。同社はMac Proの計画について、Cook氏の電子メールに書かれていた以上の詳しい内容を説明することは控えている。
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