ミクシィは3月4日、Androidアプリ開発者向けのテストアプリ配信サービス「DeployGate」において、個人開発者を対象にした無料プランの提供を開始した。サービス開始から約半年が経ち企業導入も進んでいることから、さらなるユーザー数の拡大に向けて無料化に踏み切った。これに合わせて、最大3万人にアプリを配布できる「配布ページ作成機能」も提供する。
DeployGateは、Androidアプリの開発者や企画者が、チームのメンバーやテスト担当者などに対して、テスト版アプリをワイヤレス(リモート)で配付できるサービス。通常、テストアプリを配布するにはスマートフォンとPCをUSBケーブルでつなぐ必要があるが、同サービスでは開発者から届いた招待メールから簡単にテストアプリをダウンロードして利用できる。
アプリ提供者は、各端末でのテストアプリの動作ログやクラッシュレポートを管理画面でリアルタイムに確認できる。また、テストアプリの更新版を端末にプッシュ通知したり、端末紛失時にリモートでアプリの利用を停止することも可能だ。
同社によれば、2012年9月のサービス開始から約半年で、世界93カ国の3400を超えるAndroidアプリの開発にDeployGateが活用されているという。現在は、日本語と英語の2言語に対応しているが、76%のユーザーが英語で利用しており、海外の企業から高い支持を得ているのが特徴だ。
国内でも、クックパッド、バイドゥ、面白法人カヤック、Zaimなどの企業が業務に取り入れている。遠隔地とのやり取りに向いているため、たとえばクックパッドでは海外法人から日本へアプリをテスト配信するために同サービスを利用している。また、バイドゥは日本語入力アプリ「Simeji」のテスト版をDeployGate経由で一部のユーザーに先行配信し、そこで得たフィードバックを正式版に反映しているという。
ミクシィでは当初、サービスに対する需要を検証する意味合いもかねて、有料のみでDeployGateを公開したが予想以上の反響があった。またサービス開始から約半年で収益のめども立ったことから「個人開発者にも広く使ってもらえるように無料で提供することにした」と、ミクシィ ソフトウェアエンジニアの井上恭輔氏は説明する。
これまでは、4アプリまで利用できる「Lite」(月額525円)、20アプリまで利用できる「Pro」(月額3750円)、100アプリまで利用できる「Biz」(月額9975円)の3プランを提供していたが、無料プランが追加されたことで4アプリまで無料で利用できるようになる。また、既存の有料プランについても上限値が緩和された。
最大3万人にアプリを配布できるランディングサイトをワンクリックで作成できる「配布ページ作成」機能も公開された。配布ページ上で配られるアプリはDeployGateへのアカウント登録が不要なため、β版アプリを大人数に先行配信するといった用途などに活用できる。「この機能によって、たとえばGoogle Playを経由することなく、イベント来場者のみにアプリを限定配信することも可能になる」(井上氏)
管理画面では、DeployGateで提供するログ収集機能に加えて、アプリ利用者の端末名やOSのバージョンなどを把握できる。コメント投稿機能も搭載しており、利用者とアプリ提供者間でリアルタイムなQ&Aやカスタマーサポートができる。従来のDeployGateは、テストアプリの動作確認に使われることが多かったが、この機能によって企画者やマーケターにも訴求していきたいとしている。
ミクシィ社内には、開発工程の改善やパフォーマンスのチューニングを行うことで、開発者にとっての無駄な作業を減らすことをミッションとした「たんぽぽグループ」という組織がある。DeployGateの開発チームは、このたんぽぽグループの出身メンバーによって構成されているという。
井上氏は「これまではミクシィ社内の開発を支えるために尽力してきたが、その技術を世の中すべての開発者に提供したい」と語り、DeployGateを無料化することで、より多くのエンジニアの開発環境を改善していきたいとした。
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