ミクシィは1月24日、組織体制の変更を発表した。2012年12月に買収したkamado代表取締役社長の川崎裕一氏がSNS「mixi」のサービス、ゲーム、ビジネス3つの事業部門を横断するかたちで新たな事業を開発すべく、執行役員兼クロスファンクション室長に就任する。また、執行役員 ユーザーサービス本部長に廣木大地氏、執行役員 ゲーム事業部長に森田仁基氏がそれぞれ就任する。
ゲーム事業では、2012年11月にディー・エヌ・エー(DeNA)と業務提携し、プラットフォームの共通化などを進めている同社。今後はゲーム以外の分野でも外部と連携しつつ、ユーザーファーストでのサービス作りを進めるという。
スマートフォンからの月間ログインユーザー(MAU)が増加するものの、全体のMAUは減少が続くmixi。FacebookやTwitter、LINEなどのサービスにユーザーを奪われていると語られることも少なくない。
だが一方では2012月8月以降、“ユーザーファースト”をキーワードにした新方針を打ち出している。サービスや機能ごとに開発チームを作る「ユニット制」を敷いたほか、ユーザーの声を直接聞く一環として、2012年11月に交流イベント「ユーザーファーストウィーク」を開催するなどしてきた。
逆風の中にありながらも、イベントなどを通してユーザーとふれ合うことで「熱量を感じ、社内の意識改革がなされてきた。ユーザーに対してコミットメントをするということもして、社内にも変化が起きている」(廣木氏)という。廣木氏はイベントなどを企画した「ユーザーファースト委員会」を率いた人物。新卒でミクシィにエンジニアとして入社したが、「(mixi)可能性を感じて入ったものの、(ユーザーの)期待に添えない部分があったと思う」とユーザーファーストを打ち出すまでの思いを語る。
はてな取締役副社長として広告や課金といったビジネス開発を手掛けたのちに独立してkamadoを立ち上げ、ミクシィに参画した川崎氏。kamadoの買収が今回の人事を前提としていたという点を否定した上で、「自分の会社でもプロダクトやビジネスを作ってきた。(買収についてミクシィと)話していく中で、ミクシィのプロダクトに対して面白いことができるのではないかとなった」と語る。
当時社外の人間としてユーザーファーストウィークを見ていた川崎氏だが、「外の人間は、『ミクシィがユーザーの声を聞いていない』と言っていた。そんなタイミングにかかわらずイベントをやったのには驚いた」と振り返る。そして「どういうことをやっても、結果として絶対に叩かれる。そんな中でイベントをするには勇気がいる。だがそのタイミングでやったのは、社内でもユーザーファーストが浸透しつつあるから。今ではどの会議でもユーザーファーストという言葉を聞いている」(川崎氏)と語った。
ユーザーファーストの試みは、今後サービスとなって続々出てくると両氏は語る。ユーザーから「以前の仕様に戻して欲しい」という要望が大きかった「足あと」機能についても、1月22日には「訪問者のリアルタイム表示機能」という形で試験的に提供を開始した。これは以前の足あと機能を踏襲し、自らのページに訪問したユーザーをリアルタイムに表示するものだ。今後も「継続的に使われるサービス」を目指し、ユーザーとの対話を通じた改善や提携を含めた新たな展開を模索する。
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