Appleがいずれも過去最高となる545億ドルの売上高と131億ドルの利益を達成した2013会計年度第1四半期決算を発表した後、同社の株価は急落した。一部報道によると、Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は先般、Apple本社で行われた従業員との会議の中でそのことに言及したという。Cook氏は従業員を元気付けるために、莫大な利益を上げる石油業界を攻撃したと9to5 Macは伝えた。報道によるとCook氏は、「Appleを上回る四半期決算を発表しているのは、石油を採掘する企業だけだ。あなた方がどう思っているかは分からないが、私はそのような石油会社で働きたいとは思わない」と述べたという。
予想の付くことではあるが、シリコンバレーでは、地上に活力を与える燃料を採掘および精製し、販売するよりも、最も愛されるテクノロジガジェットを開発して製造する方が、個人としておよび職業としての充実感を得られるとみなされている。「iPad」がクールで革新的なのに対し、1ガロンのガソリンは環境を汚染する金色の液体で、人が生きていくために必要なものだ。
巨額の売上高と利益を生み出すApple、そして、ExxonMobilのような大手石油会社は、エリートのクラブに属している。先日のApple株価急落の後、同社は時価総額世界一の座をExxonMobilに明け渡した。それぞれの時価総額は、ExxonMobilが約4170億ドル、Appleが4120億ドルだ。
しかし、Steve Jobs氏の志を継いだCook氏が好んで話すように、Appleは単にシリコンを、もしくは石油を利益に変えることよりも高邁な目標を抱いている。
Cook氏は米国時間1月23日に行われた第1四半期決算発表の場で、「Appleにとって最も重要なのは、顧客の生活を豊かにする世界一の製品を作ることだ。それがAppleの最重要事項である。つまりわれわれは、売上高のための売上高には興味がない。さまざまなものにAppleブランドを付けて、より多くのものを売ることもできるが、それはAppleの存在理由ではない。われわれは最高の製品だけを作りたいと考えている」と述べた。
今問題となっているのは、最高の製品を作るというその使命が、近いうちに堅調な株価につながるかどうかということだ。もちろん、ウォール街を満足させるために必要なのは、最高の製品を作ることだけではない。それは予測を設定した後で、その予測を上回るというゲームでもある。Appleは何年も前からこのゲームについて熟知している。
いくつかの新しい製品やアップデートによって、その流れを上向かせることが可能だ、とNomura SecuritiesのStuart Jeffrey氏は話す。しかし、それが近いうちに起きる可能性は低い。
Jeffrey氏は先週、投資家に宛てたメモの中で、「成長を再加速させるために、Appleはおそらく新製品を発表する必要があるだろう。しかし、6月までに発表されそうな新製品はほとんどない。最も大きな影響を及ぼしそうなのは『iOS 7』だが、先般の経営陣刷新は近い将来に大幅な進歩が起きる可能性が低いことを示唆している。China Mobile(中国移動通信)との提携は株価を押し上げるかもしれないが、そのタイミングは現時点では不明だ。これらを考慮すると、カンフル剤になる可能性があるのは、300ドルの『iPhone』か、よりハイエンドのiPhoneだけだ」と述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」