UPDATE Apple、Google、Intel、Adobe Systemsなどの企業が2000年代半ばに、お互いおよびその他の技術企業からの従業員を引き抜かない協定を結んでいたことを実際に示す文書が裁判で公開された。
The Vergeの米国時間1月23日付けの記事には、複数の企業の間に明らかに引き抜き禁止協定があったことを示す電子メールの記録が掲載されている。
引き抜き禁止協定の存在は、5人の従業員がAppleやGoogleを含む複数の企業を相手取り、引き抜き禁止協定によって故意に賃金抑制を図ったとして2011年に民事訴訟を起こしたことで発覚した。
この民事訴訟を担当するLucy Koh判事は、これを集団訴訟として扱うかを検討中であるとReutersは報じている。集団訴訟として処理される場合、より大がかりな和解へとつながる可能性がある。Reutersによると、原告側の弁護士らは、損害額は何億ドルにも及ぶ可能性があると主張しているが、Koh判事はその主張には「穴」があると述べているという。
22日に公開された訴訟文書の中には、Palmの元最高経営責任者(CEO)Edward Colligan氏の宣誓陳述書も含まれている。同氏は宣誓陳述書の中で、2007年にAppleのCEOだったSteve Jobs氏から電話があり、両社間の引き抜き禁止協定を提案されたと述べている。協定は「違法の可能性がある」と指摘すると、Jobs氏はPalmが合意しない場合、Appleが同社を特許侵害で提訴する可能性があると示唆したとColligan氏は述べた。
しかし、Jobs氏とColligan氏のやり取りは氷山の一角だったようだ。
The Vergeが掲載した2006年2月付けのある電子メールには、Jobs氏がGoogleのCEOであるEric Schmidt氏に対して、Appleの「iPod」グループからの引き抜きをやめるように、次のように求めていたことが示されている。「Eric、Googleの新しい携帯電話ソフトウェアグループがAppleのiPodグループの人材を執拗に引き抜こうといると聞いた。これが真実ならば、やめさせてくれないだろうか?協力に感謝する。Steve」(Jobs氏メール)
同文書内の別のメッセージによると、Googleの人事戦略担当幹部がSchmidt氏に、Appleの従業員を雇用しようとしたリクルーターは解雇される予定だと伝えたという。それに対してSchmidt氏は、「後で訴えられる可能性があることについて追跡できる記録を作成したくないため、この件は口頭で行いたいと思う。これについてはよく分からないのだが」と回答した。
他にも電子メールがシリコンバレーから発見されている。IntelのCEOを務めるPaul Otellini氏からのメッセージは、Googleとの協定について言及しているが、「署名したものは何もない。Ericと私の間において『採用なし』を合意している。これに関して広く知られてほしくない」と警告している。
また、裁判で公開された文書において、IntelによるメモにはPixarの人材を採用することはできず、Pixarの人材から応募があった場合にはPixarのCEOに承認を得る必要があることが書かれている。
実際に、人材獲得を禁止する企業のリストを保持していた企業も一部にはあった。
Adobeによる文書では、同社が社員にApple、Bell Canada、EMC、SAPなどから人材を採用しないよう警告していることがわかるという。Appleの文書は、勧誘の連絡を禁止するリストにMicrosoft、Google、Intel、Pixarなど多くの企業を指定していた。Googleの文書は、Intel、Apple、PayPal、Comcast、そしてGenentechの人材とは採用の可能性があっても連絡を取らないよう警告しており、Googleはこれら企業と「特別な協定」を結んでいるとしている。
Apple、Adobe、Google、Intel、Intuit、Pixarは2010年、非勧誘協定をやめることを約束し、米司法省と和解した。
米CNETはGoogleにコメントを求めていたが、同社幹部は、同社は「常に積極的に最高の人材を採用してきた」と回答した。
米CNETは、AppleとIntelにもコメントを求めているが、本稿執筆時点では回答を得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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