しかし、Graph Searchを使った発見が真の意味で楽しいのは、自分のネットワークの内外にあるコンテンツをどう探し出そうかと考えているときだ。2012年のオリンピックの写真を探してみる。あるいは、同じ会社か競合企業に勤めていて自分の近所に住むメンバーのリストを眺めてみる。友達の間で評判の良い、近くの菜食主義レストランを詳しく見てみる。これが済んだら、自分のニーズに合うように(検索の)精度を高めてゆこう。例えば、特定の人が「いいね!」を押したり、訪れたりしているようなコンテンツに検索結果を制限してみることが考えられる。
初めてGraph Searchを使った人は、果てしなく続く予測できない発見の道に戸惑うだろう。筆者もこれといった理由もなく、「1981年にカリフォルニア州サンディエゴで撮影された写真」に没頭してしまった。検索結果が情緒に訴えかけてきたのだ。20代の人の手によるものではない、1980年代のフィルタを通して見たシーワールドなどのランドマークの数々に何か特別なものを感じてしまった。
Graph Searchと検索の関係は、タイムラインとプロフィールのそれに似ている。どういうことかと言うと、Graph Searchはかなり型破りで、初めはとっつきにくいということだ。
平均的なユーザーは探し物を見つけ出す方法がすぐには分からないだろうし、Facebookを始めたばかりの人はGraph Searchを使って検索したり見つけ出したりできるたくさんの事柄を理解できないだろう。ここには傾斜のきつい学習曲線が存在する。このプロセスを楽しむ人もいるだろうが、煩わしさを嘆く人も出てくるだろう。エンジンが分かりやすい自然言語のフレーズを解析してくれるにも関わらず、青い検索バーに何と入力すれば望みの検索結果が得られるのかと、平均的な人でも迷ってイライラするだろうと簡単に想像がつく。
これこそが、Graph Searchがベータたる理由だ。タイムラインが登場したときと同じようにユーザーを混乱させることもあれば、喜ばすこともある。そして、タイムラインと同じように、数カ月も経てば、ユーザーは自然にGraph Searchを使いこなすようになり、手放せないエクスペリエンスになる。もっとも、その間もバグや不可解さを声高に批判する人も少数派ながらいるだろう。
クエリの「liked by」フィルタは、実際の好みを正しく反映するとは限らないが、今のところFacebookの検索機能から友人が推奨するコンテンツを探し出そうという場合に使う基本的なフィルタがこれだ。Facebookが「Open Graph」のアクション(サードパーティーのアプリケーションを使ったメンバーの行動)を収集すれば、Graph Searchから良いレストランや映画、音楽などの情報はいっそう得やすくなる。
筆者が試した限りでは、友人のお気に入りを検索すると、特にレストランというカテゴリでは有用な結果が得られる。
例えば、菜食主義者にとって、すぐ近くにあるベジタリアン対応のレストランを探し出すのは骨の折れる作業である。foursquareやYelpも役立つが、自分のすべてのニーズに応えてくれるアプリケーションに私は出くわしたことがない。Facebookも期待外れだろうと思っていたが、Facebookで「友人が気に入っている、近所の菜食主義レストラン」を探した結果、確かな選択肢が提示された。検索結果は完璧とまではいかないが、及第点には達している。場所に関連した、liked byフィルタを使ったクエリの多くはどれもこういう感じの結果になるだろうと推測する。
Facebookの新規ユーザー開拓が限界に達した今、同社がエンゲージメントというもう1つの重要な指標を飛躍的に伸ばし続けられることを金融市場に証明するうえで、Graph Searchは一役買うだろう。しかも、同プロダクトは金を生み出す機械になる長期的な可能性を秘めている。Altimeterの業界アナリストSusan Etlinger氏が筆者に言った通り、Graph Searchは人やブランド、嗜好(しこう)の間にある点を線で結んでくれるだろう。これにより、ブランドが、人が実際に欲しがっているものと関連性の高い提案をするための道が開けるのである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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