世界的に大人気のiPhone。もちろん中国でも売れ行きは好調で、足りない分は香港などから闇輸入され高値で売られているほどだ。トンデモケータイの世界でも一時期はiPhoneソックリケータイが大ブームとなり、本物が出る前から類似製品が登場することも当たり前だった。最近では中身をAndroid OSにした偽iPhoneも多く、そのままスマートフォンとして使えるから始末が悪いと言うか意外と便利で、二重の意味で困った製品も増えている。
さてiPhoneは便利とはいえ、中国での日常使いにはやや不便な面もある。例えばSIMカードを入れ替えて使おうにも常にSIMトレイのピンを持ち歩いていなくてはならない。また中国では当たり前、トンデモケータイでは標準機能とも言えるデュアルSIMにも対応していない。iPhoneのSIMトレイからフレキケーブルを引っ張り出して無理やりデュアルSIMにするアダプタなんてものも売られてはいるが、使い勝手はちとイマイチだ。てかそんなケーブルを作っちゃうあたりもさすがは中国である。
てなことでiPhoneで複数のSIMカードを自由に使いたいって要望にお答えした「リンゴの皮」と呼ばれる製品が中国ではいくつか販売されている。リンゴはもちろんiPhone、皮はそのiPhoneにかぶせるカバー/ジャケットの形状をした端末という意味だ。そういえば海外ではiPhone用のWiMAXルータージャケットなんてのも出ているがそれと類似した製品なのね。中国じゃiPhoneの不自由さを開放させてくれる製品として結構人気だそうだ。
でも冷静に考えれば、そこまでするならもう1台携帯を持てばよさそうではないだろうか。でもこのリンゴの皮は、ジャケットならではの便利な機能も内蔵している一味違う製品なのである。ちなみに筆者が知る限りこの手の製品は10種類前後あるようだ。以前出始めの時に初期の製品を購入したことがあるものの、造りは荒く電池も持たないなど所詮はトンデモケータイレベルと呼べる出来の製品だった記憶がある。だが最新の「皮」はかなり出来がよくiPhone 4/4Sユーザーに正しくお勧めしてもいいくらいの仕上がりなのだ!
今回紹介する製品の名前は「ikupeel」。peelは皮の意味そのものだがiPhoneらしさを表すiとの間の「ku」の意味はちょい不明。ちなみに過去にはipeelなんて製品もあったのでそれとの区別のためこんな名前にしたのかもしれない。対応するのはiPhone 4またはiPhone 4Sである。
パッケージを開けるとまるで本物のiPhoneのように、ikupeel本体がそのままどーんと入っている。でも本家に似せている割にはそのイメージは全然違う。とはいえ上品なホワイトのボディーはまともなメーカーの製品という雰囲気も出しているかもしれない。中国製品にありがちな安っぽさもあまり感じられないのもうれしいところだ。なお価格はこれで3000円ちょっと。トンデモケータイとして考えると妥当なレベルだろう。
ikupeelは只のケータイ、なので大した機能は持っていない。なのにディスプレイの右上にFMラジオの表記をわざわざ印刷してあるあたりは少しでも高機能であることをアピールしたいのだろう。だけどiPhoneを持っている人がたかがリンゴの皮にFMラジオが付いたところで「すごいぞ!」なんて思うわけないよねぇ。ま、何も表記がないよりもこれはちょっとしたアクセントになるのでデザイン上は十分アリなのかもしれない。
一方内側はiPhone 4/4Sがピッタリとはまり込むようなジャケット形状になっている。下部にはiPhone用のコネクタもあり、これが後で大きな役割を果たす。とはいえiPhoneとikupeelの間では一切のデータのやり取りは行われず、それぞれが単独の製品として動く。まぁ「皮」と呼ばれる製品だけあってその程度のブツということなのだ。
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