Appleと大手出版社4社が、欧州の独占禁止法規制当局との間で9月に開始した交渉を経て合意に達した。これにより、電子書籍の価格操作をめぐって進行中の論争が終わりを迎える。
AppleとHarperCollins Publishers、Hachette Livre、Macmillan Publishersの親会社であるVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinck、CBS傘下のSimon & Schuster(CBSは、米CNETおよび米ZDNetの親会社でもある)は、Amazonなどの電子書籍販売業者に対する価格制限を緩和することになる法的拘束力を持つ条件に合意した。
5番目の出版社Penguin Group(英国のPearsonが所有)は、「約束を表明しないことを選んだ」ため、まだ調査中の段階だ。ただし欧州委員会は、現在も同社と交渉中だと述べている。
欧州委員会は声明で、各社が「欧州連合(EU)による独占禁止法の規則に違反して、欧州経済領域(EEA)で電子書籍の小売価格競争を制限することを企てた可能性がある」と述べた。これらの懸念に対処するため、電子書籍の出版社各社は「現行のエージェンシー契約を打ち切り、今後5年以内にエージェンシー契約の特定条項を削除する」ことを提案した。
欧州の独占禁止法規制当局がこの段階に達するまでには、最初に英国の取引規制当局が予告なく各社への立ち入り調査を行い、EUに代わって調査を開始してから1年が経っている。EUが調査に加わると、Appleおよびパートナーの出版社各社が共謀して電子書籍の価格を操作し、競争を制限するよう企てたとの疑惑が浮かんだ。
出版社各社は「最恵国待遇」条項の削除にも合意した。ある小売業者が電子書籍の小売価格を他の小売業者より低く設定できるようにするもので、別の小売業者がどんなモデルを採用していようと関係がない。つまり、優遇措置を受ける小売業者は利益を確保できることになり、より小規模な書籍販売業者に連鎖的に影響が及ぶ可能性があった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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