GoogleやBing、Yahooのような「水平」検索エンジンにも垂直検索の結果を提供してほしいとわれわれが考えるのは、そうでなければ、検索ができるほかのサイトに行くための検索しかできなくなるからだ。さらに言えば、このような検索をしていた日々には戻りたくはない。
これは、2001年9月11日に「World Trade Center」と検索したときのGoogleの検索結果画面だ。検索結果の2番目にある、「View from WTCA Headquarters(世界貿易センター連合本部からの眺め)」という表示を見ると、いまだに悲しくなる。
この結果の中には、ツインタワーが崩壊したというニュースはない。それは、当時のGoogleにはGoogle Newsがなく、全体の検索結果にブレンドできる垂直検索結果がなかったからだ。垂直検索という検索は、まさにここに示したような理由で、検索エンジンが提供することを期待されているものだ。
先に書いたように、Googleの周辺には、調査を行うべき反競争的問題は存在する。しかし垂直検索の基本的な考え方は、特にライバル企業や圧力団体、さらには残念なことに一部の政府関係者が議論しているような意味においては、問題になるようなものではない。
本当の問題は、Googleのような検索エンジンがライバルの検索エンジンを表示しないことよりもむしろ、最終的にGoogleの外にあるサイトを検索の目的地として示さなくなる場合だ。Googleが目的地としてのコンテンツになるとしたら、公平さとは何なのだろうか。
Googleが人々をGoogle NewsやGoogle Shoppingに向かわせる場合、そうした人々の多くはGoogleの外のサイトに移っていくだろう。しかしGoogleが地域の情報や旅行情報を強化するために「Zagat」や「Frommer's」のようなコンテンツ企業を買収したら、ほかの地域情報ガイドのサイトや旅行ガイドのサイトは(検索エンジンの対極にあるものとして)、何らかの形で不利な立場に置かれるのではないだろうか。その可能性はあるが、必ずしも不正であるとは限らない。
この問題が本当に議論されたことはない。Googleがそうしたガイドコンテンツの買収を始めたのはつい最近のことだ。それは皮肉にも、Yelpのようなライバル企業が、Googleはそうしたサービスのコンテンツを不当に集約していると苦情を述べたことへの対応だった。Googleがそうした非難から自らを守るために取った解決策は、同社を新しい、そして筆者から見ればより厄介な道へと進ませている。しかしその道は、規制当局がこれまで調べたことさえないような道だ。
Googleがそうした申し立てに対抗するために最終的に切った究極のカードは、一部の垂直検索結果を広告として表示することのようだ。例えばGoogle Shoppingはかつて、ウェブ全体で検索されたショップを無料で一覧表示していた。しかし10月にGoogle Shoppingは、完全に広告として表示されるサービスに変わっている。
Google Shoppingは事実上、全面的に広告である(残念なことに、これはショッピング検索エンジンでは当たり前である)。しかし完全に広告とすることによってGoogleは、「垂直」検索ボックスをほかの検索結果の前に置いているわけではないという主張をうまくできるようになる。それは特別な広告ボックスを表示しているだけであり、ライバル会社がそれを不公平だと主張するのは難しいと思われる。
FTCや欧州連合が最終的にどのような裁定を下すかは興味深い。個人的には両者とも、Googleは垂直検索ボックスにより適切な表示をするように、という提案をするだろうと予想している(有料検索結果の表示について、FTCが既存の基準を十分に施行していないことを考えると、これは皮肉な話だ)。
どちらかが、Googleは垂直検索を提供できない、あるいは何らかの形でほかの垂直検索エンジンの検索結果を「平等に」扱わなければならないと言うとは、筆者は考えていない。冒頭で書いたように、それは、「水平型の」新聞に、ライバル誌のスポーツ欄やエンターテインメント欄を掲載することを求めたり、公平性のためと称して、大手テレビネットワークに、小さなケーブルテレビチャンネルの料理番組を放映するように求めたりするのと同じことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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