iPhone 5の次の戦略、Googleが語るApple--松村太郎のAppleニュース一気読み

 10月8日~10月14日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

  先週末から、ソフトバンクが米国第3位のキャリア、Sprintの買収を行うという報道が流れて、注目が集まっている。ソフトバンクのSprint買収自体はAppleやiPhoneと直接関係しているわけではないが、ソフトバンクは日本でもイーアクセスの子会社化を進めるなど、iPhone 5登場と時を同じくして通信業界再編に打って出ている点は興味深い。

 今週のAppleの動きを振り返っていこう。

iPod touch、iPod nanoが登場、iPhone 5のその後は?

 iPodから始まったiデバイスは、iTunes Store、App Store、iBookstoreというコンテンツ販売のエコシステムとデバイス、そしてOS、クラウドを統合的に管理する姿に発展し、その恩恵を最大限に受けているのがiPhoneであり、iPadだ。噂されるテレビは、このエコシステムに新たなデバイスとマーケットとして追加されるのであろうか。楽しみな限りだが、iPodを大切にするAppleの戦略は今後も続きそうだ。

 その大きな理由は、パーツの価格を押し下げる原動力になること。作るのが難しいとされる4インチに拡大されたRetinaディスプレイは、iPhoneとiPod touchで共通のパーツとなる。また、iPod touchのA5チップは、中身が刷新されたiPod 2と同じであり、登場が予測されるiPad miniとも共通になる予定。iSightカメラ、FaceTimeカメラなども含めて、調達規模を大きくすることに貢献している。

 また音楽は依然として、Apple IDにアカウントを作り、ダウンロード購入するための最も手軽な動機として活用できるだろう。10月の初旬から韓国のアーティストPSYの「Gangnum Style」が大ブレイクし、ミュージックビデオのYouTube再生回数は4億回を突破したが、同時にiTunes Storeの米国チャートでも1位を記録していた。

 YouTubeで気に入り、iTunesで買う、というスタイルは依然として健在であり、AppleがiPodとiTunes Storeの音楽セクションを今後も大切にすべき理由でもある。

アップル、「Lightning - 30ピンアダプタ」の出荷を開始か(10月9日)
アップル、新型「iPod touch」を出荷開始(10月10日)
「Lightning」コネクタの認証チップ、ハッキングされる--非純正品がまもなく登場か(10月10日)
「iPhone 5」の供給不足、アルミ製筺体も一因か(10月11日)
第5世代「iPod touch」、iFixitが分解--修理は困難と評価(10月12日)

GoogleがAppleについて語る

 日本、韓国とアジアを回って、ソウルのGoogle Koreaでは上に挙げたGangnum Styleのダンスを踊ったGoogle CEO Eric Schmidt氏。New Yorkで行われたインタビューで、Appleについて語っている。決して批判的であったり、冷やかしとは違う、静かな口調でのインタビューだったそうだ。

 「地図の大変さが分かったはず」「GoogleのやることをこれまでもAppleが全て飲んできたわけではない」と指摘しながらも、テクノロジ業界の巨人同士は対話を欠かさない点を指摘している。Schmidt氏はAppleの取締役を務めていた時期もあり、理解者でもある。

 競争と対話が、今後どのようなテクノロジーの未来を作って行くのか、期待したい。

グーグルのE・シュミット氏、アップルについて語る--「地図の大変さが分かったはずだ」(10月11日)
「アップル対Androidは決定的な争い」:グーグルのE・シュミット会長(10月12日)

これからのAppleのiOSデバイスはどうなるのか?

 AppleがiPhone 5をリリースして、堅いビジネスを展開してる様子はとてもよくわかる。そこで気になるのが次、その次、と今後も続いて行くであろうAppleの屋台骨と言えるiPhoneビジネスがどうなるのか、と言う点だ。

 iPhone 5の絶賛の声の裏に、「これから先どうするのだろう?」という疑問符が隠れている。もちろんそのための準備も進めているが、これまでのAppleの進め方が、いつまで通用していくのか、考えてみる必要があるが、Appleがこれまで追究してきた「絶対的な優位性」は、地図の問題で少し陰りを見せている。一方で、これは確固たるものではないかも知れないが、マーケットには「相対的な優位性」という尺度も存在しており、Apple以上に他のメーカーやプラットホームが上手くやらなければならないことも確かだ。

「iPhone 6」には複数モデルが必要か--アップルのモバイル製品戦略の今後(10月9日)
iPhoneという名の「イカロスの翼」(10月12日)
サムスンの主要チップ設計者、アップルに移籍か(10月12日)

iPad miniの発表は10月23日に?

 10月16日前後に発表されると見られていたiPad miniは、その発表の予測を1週先送りとした。報道は、まことしやかに報じられるため、Appleが発表会を延期したように見えなくもないが、予想が外れたと言うだけのことだ。

 iPad miniに関しては、ケースデザインが直前で変更になったという話、Wi-Fi接続モデルのみの対応になるのではないか、との予測も出ている。フラッグシップモデルの新しいiPadの存在感が未だに大きいため、注目すべきは、バッテリ持続時間、重さ、そして価格がどこまで安いのか、と言う点だ。ちょっとつまらないと思われるかもしれないが。

アップル、「iPad mini」を第4四半期に1000万台製造か(10月9日)
「iPad mini」、Wi-Fi接続のみ対応か(10月10日)
アップル、「iPad mini」を米国時間10月23日に発表か(10月13日)

“iCEO”の先へ

 先週、Steve Jobs氏の死去から1年が過ぎ、さまざまな記事が掲載されたが、今週も、Jobs氏にゆかりの深い日本人のビジネスパーソンがインタビューで登場している。「顔の柔らかさは頭の柔らかさ。表情の豊かさは想像力の豊かさ」とは前刀氏の言葉。Jobs氏との出会いの話や仕事を通じたエピソードなどは、読み応えがある。

 また、Jobs氏の死去後のAppleはどうであったか? こうした論評も出ている。前刀氏、堀氏のインタビューと1年の振り返りを合わせて読むと、Jobs氏との経営や判断の変化が浮かび上がってくる。

Steveのイノベーションで変わった世の中の先--前刀禎明(10月8日)
「iCEO」スティーブならどうする? それがAppleの真骨頂--堀昭一(10月9日)
栄光と挫折の1年--ジョブズ氏亡き後のアップルを振り返る(10月11日)

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