ソフトバンクは10月31日、2013年3月期中間連結決算(4~9月期)を発表した。売上高は前年同期比3.3%増の1兆5861億900万円、営業利益は同7.9%増の4027億6200万円、経常利益は同15.4%増の3630億1000万円、純利益は同22.0%減の1694億3200万円となった。
携帯電話契約数の増加にともない増収となったが、前年同期と比べると約2割の減益となっている。これは前年同期に持分法適用関連会社である中国Renrenの上場や、米Yahoo!の株式売却などの特別利益が発生したことによるもので、これらを除けば「純利益は順調に拡大している」(ソフトバンク代表の孫正義氏)という。
営業利益は7期連続最高益となる4027億円。また営業利益率は25%で、21%のドコモ、13%のKDDIを押さえての1位となった。同社は米携帯電話3位のSprint Nextelを買収することで合意していることから、孫氏は米国との比較も紹介。20%のAT&Tと、19%のVerizon Wirelessも抜いているとし、日米でトップの営業利益率を達成していると胸を張る。
「会社経営にはさまざまな困難がともなう。必ずしも恵まれた条件であるとは限らない。その中で、一所懸命頑張っている競合他社を抜いていく。この快感は小学校の時にリレーで前を走っている相手を抜いていく快感をはるかに上回る」(孫氏)
同社の主力製品である「iPhone 5」が発売されて約1カ月が経過したが、孫氏は「ソフトバンク版のiPhone 5には、誤解されていることが大きく2つある」と話す。それは同じくiPhone 5を販売するKDDIが主張する「電池の持ち」と「基地局のタイプ」についてだ。
KDDIでは、LTEが圏外の場合には端末側で無駄なスキャンをしないよう、エリアごとにネットワークのチューニングを施しており、これによってiPhone 5の連続待受時間を260時間にまで伸ばしていると説明。一方のソフトバンクはこれらのチューニングをしていないことから、待受時間がau版よりも100時間少ない160時間であると主張していた。
孫氏はこのKDDIの主張について「実際に最初はそうだった」と認めたが、その後LTE待受時のパケット通信の接続状況を最適化したことで、現在はau版よりも電池の持ちが良くなっているとアピールする。
また、KDDIはソフトバンクのLTEの基地局について、1つの基地局機能のみで小容量かつエリアも狭い「オムニセクタータイプ」を使用していると説明している。これに対して孫氏は、同社では複数の基地局機能を1箇所に設置し、大容量かつ広いエリアを確保できる「セクタータイプ」の基地局が97%を占めており、一部の基地局のすき間にオムニセクタータイプの基地局を設置しているにすぎないと反論した。
続けて孫氏は、LTEのカバーエリアについて説明。KDDIは10月9日時点で、LTE回線につながる山手線の駅数がauは24駅であるのに対し、ソフトバンクは6駅しかないと主張していた。このデータについても孫氏は「その頃は確かにそうだった」と認めたが、10月31日時点ではKDDIと並ぶ全駅(29駅)でLTE接続が可能になったと説明する。「今日残りの3駅が開通し、山手線を制覇した」(孫氏)。
さらに、全国のJR乗降客数トップ1000駅におけるLTE接続状況を紹介。「この週末に急遽社員を総動員して調べさせた」という孫氏によると、1000駅のうちLTEに接続できた駅数は、ソフトバンクが807駅、auが542駅。また、LTEの速度でもソフトバンク版の方が速い駅が多いという結果が得られたという。
孫氏は契約数についても言及した。9月のMNP(携帯電話番号ポータビリティー)でKDDIの純増数は9万5300となり、プラス1200のソフトバンクと、マイナス9万5200のドコモを大きく引き離しての1位となっている。
この結果について「最終的にどの数字が1番大事かというと利益。その利益を増大する1番大きな要因である売上げは“契約数”と“ARPU”の2つで成り立っている」とコメント。2012年度上期の純増数はドコモの66万、KDDIの100万を大きく超える151万だったほか、ARPU(1契約あたりの月間平均収入)も競合2社と比べて唯一増加傾向にあると語り、いずれにおいてもソフトバンクが勝っていると強調した。
ソフトバンクでは通期で7000億円の営業利益を達成する見通しで「2016年には国内だけでも1兆円を達成する自信がある」と孫氏は語る。また、アジアや米国といった海外展開も加速させることで経営基盤を強化し、端末やサービスの品質向上につなげていきたいとした。
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