数年を費やして開発された「Windows 8」は現在、購入するか否かという消費者の審判を受ける時を迎えた。Windows 8は世界中で現地時間午前12時01分にリリースされ、アップグレード価格は39.95ドルという低い価格に設定されている。
Microsoftで「Windows」を統括するSteven Sinofsky氏は米国時間10月25日、ニューヨークで開催されたWindows 8発売イベントで、「これは、Windows史上最高のリリースである」と述べた。Windows 8にはこれまでにかなりの実地試験が実施されており、190カ国において12億4000万時間もの時間をかけてリリース前テストを実施したと同氏は述べた。
Windowsのこれまでのバージョンも過去最高とうたわれて提供されてきたが、Windows 8はMicrosoftにとって、格段に大きな賭けである。10億人以上のユーザーがWindowsを使用しているが、Windows 8のタッチ機能が搭載された新しいインターフェースに慣れるには、ユーザーはその使用方法を習得し直す必要がある。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるSteve Ballmerは壇上で、「Windows 8は、PCに対するこれまでの認識を打ち砕くものである」と述べた。同氏が言及していたのは、MicrosoftのタブレットとPCのハイブリッド版である「Surface」と、Windows 8のユーザー体験の中心となるタッチインターフェースである。各種レビューでは、Surfaceにおける技術革新についてはMicrosoftを称賛しているものの、同端末の性能が低いこととアプリケーションが足りないことが指摘されている。
Microsoftは、この新しいWindowsバージョンで、ビジネス市場における「Windows 7」の成功を持続させたいと考えている。Window 7を3年前にリリースして以来、Microsoftが企業および一般ユーザーに販売した同OSのライセンスは6億7000万本にのぼるとSinofksy氏は述べた。「企業の半数以上がWindows 7を利用している」と同氏は語る。
Windows 8の始動を支えるために、1000機種もの新しいPCが既にWindows 8の認定を取得しているとSinofksy氏は述べた。
アナリストらは2013年のPC販売台数を約4億台と予測しており、そのほとんどにWindows 8が搭載されると考えれば、Microsoftによる同OSの販売本数は直ちに高い数値に達するだろう。ただし、これまで20年近くにわたって使用してきたものとは抜本的に異なる新しいユーザーインターフェースを、企業らが採用するまでには時間がかかるものと思われる。
MicrosoftはWindows 8を擁して、ビジネス市場における支配を維持しようとばかり考えているわけではいない。同社は、AppleやGoogleが支配するモバイルコンピューティングの新しい時代でもWindowsの意義と利益性を維持すべく戦おうとしている。
Sinofsky氏は、新しいWindows Storeについて、開設時におけるアプリ数が他の競合アプリストアよりも多いことをアピールした。これはある意味では正しいかもしれない。しかし、Microsoftが現在扱っているアプリは1万以下であり、GoogleとAppleは70万アプリ以上をそれぞれのプラットフォームで扱っている。Ballmer氏は、「開発者は、新しいWindows Storeを満たすため、迅速かつ猛烈な勢いで作業を進めている」と述べた。
Ballmer氏はイベントの締めくくりに、「Windows 8の場合、百聞は一見に如かずという言葉そのものであることに加えて、タッチ、クリック、そして、スワイプを体験してみることに如かずだ。10億人近くのWindowsユーザーには、Windows 8を信じるかどうか、自身で決めるチャンスがある」と語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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