Appleとサムスン電子の間における大きな訴訟が始まる数カ月前に、Appleは特許の相互使用契約に関する提案をサムスンに対して行っていた。しかし、両社が合意に達することはなかった。
Appleの知的財産ライセンス契約担当ディレクターを務めるBoris Teksler氏が、サムスン側の担当者であるSeongwoo Kim氏に宛てた、契約の概要を説明した3ページからなる書簡が今週になって公開された。これは、非公開に留めておいてほしいという両社からの請求を米連邦裁判所のLucy Koh判事が却下したことを受けたものである。
Teksler氏は4月30日付けの書簡のなかでAppleは、サムスンの3G/UMTS関連特許のライセンスを使用するにあたり、サムスンが(自社特許の使用料として)要求している2.4%ではなく、合理的かつ非差別的だとみなす条件(FRAND条件)に基づく使用料にするという提案を行った。
Appleはその一方で、デバイス1台あたりの自社の特許使用料を、FRAND条件に基づいて33セントと算定していた。ただしこの提案は、サムスン側が「必須標準特許であると認められた特許の使用をAppleに許可するうえで、ロイヤリティに関するこの共通の基準を採用することに同意するとともに、特許使用料率に対しても同じ手法をとることに同意する」ことが前提条件となっている。
Appleは、必須標準特許であると認められた同社のUMTS関連特許をサムスンが使用することを許可する用意がある。Appleがこれを許可するにあたり、サムスンはFRANDのロイヤリティ基準としてのベースバンドチップの価格と、UMTS関連で必須標準特許であると認められた特許すべて(そしてGSMといった、UMTSの後方互換性を保証するために必要となる標準特許すべて)に対するApple側の特許の割合を反映した特許使用料率に基づく条件に合意する必要がある。なおこの提案は、サムスン側が必須標準特許であると認められた同社特許の使用をAppleに許可するうえで、これと同じ、特許使用許諾に関するこの共通の基準を採用することに同意するとともに、特許使用料率に対して同じ手法をとることに同意するという相互条件に合意することが前提となっている。
Appleは、FRANDの真の意味と要件を実行するこういった手法をとることで、Appleが保有する特許の使用料はデバイス1台あたり0.33ドル(33セント)になると算定している。こういった料率を導き出すFRAND原則にサムスンが同意すれば、Appleは必須標準特許であると認められた自社のUMTS関連特許の使用を、今日にでもサムスンに許可する用意がある。この使用料は、Appleが別途特許使用を許可していないすべてのサムスン製デバイスに適用される。なおサムスン側も同様に、別途特許使用を許可していないApple製デバイスに対してのみ使用料を課すという条件に同意する必要がある。
Appleは米国時間5月7日までの回答を要求していたものの、サムスンが回答を返したのか、また返したのであればどのような内容だったのかについては明らかにされておらず、結局は合意に至らなかったということになる。
米CNETはこの書簡についてAppleとサムスンにコメントを求めたものの、本記事執筆時点では回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」