Skypeの共同創業者であるNiklas Zennstrom(ニクラス・ゼンストローム)氏が2006年に設立したイギリスのベンチャーキャピタル(VC)、Atomico。同社が日本での活動を本格化してきた。2011年には、翻訳サービスを手掛けるGengo(旧:myGengo)に投資している同社。6月には、Skype日本法人の代表取締役を務めた岩田真一氏が東京オフィスの代表として就任。ヘッドクォーターのあるイギリスをはじめ、各国のオフィスと連携して、投資先企業のサポートや、新規投資先の発掘に努める。
これまでAtomicoが投資した企業は、スマートフォン向けアプリ「Angry Bird」を提供するフィンランドのRovioや、デザインプロダクトを取り扱うECサイト「Fab.com」を提供するFabなど、50社以上にわたる。
彼らはどのような企業を求めており、どのようなスタンスで投資を行うのだろうか。日本オフィス代表の岩田氏と、イギリスや日本で活動するAtomicoパートナーの田村裕之氏に聞いた。
岩田:Atomicoには、投資部門のほかに、マーケットエクスパンションチームと呼ぶ部門があります。私を含めて、中国、ブラジル、トルコのオフィスにこのチームのメンバーがおり、各国でライトパーソンの紹介や現地法人の設立支援、マーケット調査、交渉の仲介などをしています。もちろんオフィスのある国での投資先候補を探して、イギリスにレポートしたりもしています。
Atomicoは、自分たちをVCファームというよりサービスプロバイダだと思っています。投資をするだけでなく、本当のパートナーとしていかに投資先の支援ができるかどうかが重要です。
田村:投資する企業は大きく2つに分かれます。最も大事なのは「コンセプト」です。マネジメントチームやプロダクトのスケーラビリティなどを重要視します。たとえばRovioなどはフィンランドの企業ですが、マーケットは世界規模です。
その一方で、ブラジルやトルコなど、「テクノロジーはこれから伸びる」という地域があります。そういう場合、そのマーケットでの勝者を探します。
投資額は、10億円~50億円規模になります。年間での投資件数は4~5件ですが、地域や件数にこだわりはありません。
田村:投資において、「セグメント」という考え方はあまり持っていません。強いて言えば「テクノロジーディスラプト(破壊)」している企業。ものを売っているだけの企業であっても、テクノロジーで優位性を生かしている企業を選びます。
田村:彼らは世界が狭くなる中で必要なサービスでした。世の中はハイテクに向かっていきますが、言語の課題というのは根本的です。また、ロバートもマットも(Gengo CEOのRobert Laing氏とCTOのMatthew Romaine氏)経営者として質が高いし、ビジネスの規模では“世界制覇”という志を持っています。それで投資を行いました。
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