田村:会社をどこに登記しているか、ということが重要なのではありません。(登記する場所が)自社の方針に適しているかこそが重要です。日本より規模の大きいシリコンバレーに行くこともいいですが、いい会社、優秀なチームはどこにあってもVCがついてくるはずです。Rovioだっていまだにフィンランドにあります。優秀なプロダクトがあり、エンジニアがいるなら、もっと日本から海外と勝負すればいいのではないでしょうか。
海外の投資家でも、いろんな日本の企業を見ています。ここで頑張って、日本のプロダクトの良さを外に出した方がいいのではないでしょうか。
ただ、シリコンバレーにすぐ行くべきという時代もありました。たとえば10年前などは、まだコアテクノロジーもそろっていませんでしたしね。
岩田:日本人は「グローバリゼーション」ばかり考えがちですが、「日本人らしさ」だって受け入れられるはずです。日本のソーシャルゲームが米国のApp Storeで1位になったという話もあります。
日本の起業家の課題として、海外との交渉ができる人が少ないということがあります。私もSkypeとKDDIの提携は大変でした。それなりの経験がないと、このような調整は難しいですね。
たとえ言葉の壁を埋められたとしても、交渉のやり方から契約書の交わし方、税金の扱い、有効なマーケティング手法など、地域によってさまざまな違いがあります。このあたりは何らかのアドバイスやサポートがないと実現が難しいです。
Atomico がキーマーケットにマーケットエクスパンションチームを持っているのは、投資先の企業が進出する際に、それらのギャップを取り払う目的もあります。
田村:オフィスを作ることは簡単ですが、我々は米国トップ5のVCなどと協業していくことが少なくありません。ここでいまさら勝負する必要性はないでしょう。シリコンバレーと我々は持っているものも違います。シリコンバレーはイノベーションが生まれるところ。有能な起業家やエンジニアがいるのが強みです。一方で我々の強みは世界へのリーチです。それを生かしていくことをが重要です。
田村:上場という選択肢は、目先の利益にとらわれがちです。中長期的な視野があれば、実はもっと大きな結果が生まれるのではないか、ということもあります。我々は投資を業務とする会社として、そこを埋めていけます。日本にもすばらしい(VCの)プレーヤーはいますが、その次のステージには我々がいます。
田村:クッキーカッターでクッキーを切り取るように「これをやったら成功する」という定型のものはありません。たとえばRovioでは、「ゲームをストアで売る」ということでなく「キャラを使ってエンターテインメントカンパニーになる」ということを目指しましたが、こういったことを見極めるのは、プロダクトの性質やチームの内容によります。
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