9月23日まで開催中の国内最大規模のゲーム展示会「東京ゲームショウ2012」。これまでコンシューマーゲームメーカーが展示のほとんどを担っていた同イベントだが、2012年はグリーやgloopsをはじめとしたソーシャルゲーム勢の展示スペースが大きくなっており、業界の活気がうかがわれる。
基調講演では、代表取締役社長の田中良和氏が「世界展開」をあらためて強調したグリー。同社のブースでは、「進化」をテーマに、スマートフォンを中心としたソーシャルゲームの展示を行っている。グリーはこの1年でどのように“進化”を遂げたのか? 執行役員メディア事業本部長で開発本部 副本部長の吉田大成氏に聞いた。
市場として大きかったのは、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフト。これは想像以上でした。そこに対して我々がより適したサービスを提供できるかが今後のミッションと考えています。
2011年年末から、フィーチャーフォンのゲームをスマートフォン向けに移植していましたが、それだけではダメだと考えています。これからの課題はネイティブアプリへの対応です。
ウェブアプリでもネイティブアプリでも人気になっています。そこの市場の拡大はグリーとしても狙っていきたいですし、カードゲームの進化についても考えています。
ただ、「ソーシャルゲーム=カードゲーム」ではいけないと考えています。スマートフォンで何ができるのか? スペック面で家庭用ゲーム機のCPUやGPU、メモリとほぼ変わらないところまで来ています。
ビジュアルや処理速度でも家庭用ゲーム機に追いついてくると、よりゲームにも多様性が出てきます。今回出展しているタイトルもそうですが、カードゲーム以外のジャンルも展開していきたい。モーターレースや飛行機レース、TPS(3人称視点シューティング)やMMORPG(多人数参加型RPG)などを出すことで、ゲームジャンルの幅を広げていきたいと考えています。
また、単にジャンルの話だけではありません。スマートフォンは常にネットワークにつながっており、ソーシャルとの相性が最もいい端末です。今までの家庭用ゲーム機で出ていたジャンルにソーシャル要素を入れることで、新たな楽しみを提供していきます。
技術的には両方やっていくというのが正直なところです。もともとフィーチャーフォンはHTMLベースでやってきたので、そこをカスタマイズ、技術進化させていく必要はあります。ネイティブアプリはこれまでやってこなかったので、ノウハウをためていかないといけない。そして各種のフレームワークやライブラリを作っていくことが必要です。
すでにハイブリッド型のアプリも実際に出ていますし、両者のいいところを取り入れていきたいと考えています。
確かにネイティブアプリであれば、「課金の3割(App Storeの例。売上の30%がアップルに支払われる)」といった話はありますが、実際に使ってくれるユーザーが意識することはありません。よりよいものを使うのがユーザーです。そのためには、まず我々がよりよいものを作り出すべきです。
スマートフォンやフィーチャーフォンだけではなく、より多くのメディアで展開することで、ソーシャルゲームがより認知されればいいと考えています。それでマーチャンダイジング事業に向けた「グリーエンターテインメントプロダクツ」新会社を立ち上げました。
5年くらいサービスを運営してきましたが、今まで手掛けてきたIPでぬいぐるみやアニメを作ることで、普段の生活に入っていきたいと思っています。よく「ソーシャルゲームをやっている人はそんなにいないよ」なんてメディアで言われることもありますが、実際にユーザーがいて、成長しているのです。その認知のために見えるモノでアプローチするのは大事でしょう。(ソーシャルゲームを)普遍的なものにする第一歩と思っています。
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