Paperwhiteの静電容量方式タッチは競合デバイスの赤外線タッチより優れているが、驚くほどの性能の違いとは必ずしも言えない、というのが筆者の最初の印象である。その理由の1つは、同デバイスの速度と反応性は、プロセッサと、E-Ink全般に共通する動作の遅さによって制限されることだ。解像度の向上によってより多くのピクセルが表示されるようになったため、ページめくりと全体的な応答性は、わずかに速くなったように感じられる程度だ。
筆者の言っていることを誤解しないでほしい。Paperwhiteはすべてにおいて、初代「Kindle」の時代から非常に大きな進歩を遂げている。そして、AmazonがE-Inkデバイスを次のレベルに押し上げたことは明白だ。Paperwhiteは印象深いデバイスだが、「iPad」を使ったときのバターのような滑らかさを期待してはいけない。
2011年に発売された電子書籍リーダー「iRiver Story」も1024×768ピクセルのディスプレイを搭載していたが、Paperwhiteのディスプレイは最新のようだ(Kobo Gloも1024×768ピクセルのディスプレイを搭載している。そのディスプレイは、Paperwhiteのものと同じかもしれないが、筆者はそれを確認することができない)。
解像度が上がって便利になったのは、フォントサイズをより小さくできるようになった(鮮明さが増したことで、読みやすくなった)ことと、画像、特に書籍のカバーアートが以前よりもはるかに精細に表示されるようになったことだ。
PaperwhiteはUIのモチーフの一部を「Kindle Fire」から借用しており、コンテンツを表示するのに同様のトグル操作の概念を採用している。カバービューインターフェースの外観は、旧モデルよりもはるかに鮮やかになっている(白黒表示にしては、という話だが)。そして、このPaperwhiteのUIは全体的に旧モデルより洗練されている(従来のKindleのUIはシンプルさが賞賛されていたが、それは同時に極めて味気ないものでもあった)
Amazonによると、「lightguide(ライトガイド)」層が画面の上にあるにもかかわらず、同社はコントラストを25%高めることに成功したという(われわれがこの数字を測定するのはどう考えても困難だが、確かに文字は以前より少し黒くなったように思える)。ピクセルに目を向けると、Paperwhiteの解像度は212ppiで、Kindle Touchと比べてピクセル数が62%増えている(数値データに言及している間にピクセルにも触れるのが得策だと判断した)。
こうしたデバイスにおいて重要なもう1つの要素は、バッテリ持続時間だ。これは、AmazonとBarnes & Nobleが相手より優位に立つために、しのぎを削っている分野だ。素晴らしいことにAmazonによると、Paperwhiteのバッテリは、半分の輝度でライトをオンにした状態で最大8週間持続するという(Wi-Fiをオフにして1日あたり30分間使用した場合)。これは、NOOK GlowLightの持続時間の約2倍である(もちろん筆者に検証するすべはない。したがって現段階では、Amazonの言葉を信じるしかない)。
AmazonはライトとWi-Fiをオフにした状態でのバッテリ持続時間について、数値を公表していない。ユーザーはほぼ常時ライトを使用すると同社は考えているのだろう。ただし当然のことながら、太陽が輝く野外にいるときにライトをオンにすることは、理にかなっていない。
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