新しいMapsには、重要な機能が1つ欠けている。ルート案内を使う際に移動方法を選ぶオプションがあるのだが、簡単に利用できるのは、車を利用する場合と徒歩の場合でのルート案内だけとなっている。公共交通機関の場合、外部のアプリが必要になる。Googleのサービスには、公共交通機関と徒歩のためのボタンがあった(それぞれの推定所要時間も表示されていた)。この不備は重大だ。言うまでもなく、すべての人が車で移動するわけではないからだ(そしてそうするべきではないだろう)。Appleが今後のアップデートでこの部分を追加するのを期待している。早ければ早いほうがよい。
言っておかなければならないのは、AppleのMapsのあらゆる良い点には、裏の顔があることだ。素晴らしい面がある一方で、慣れ親しんでいたGoogleの地図サービスからユーザーを引き離しているのである。そのため、Google Mapsとの連携がなくなっただけでなく、ユーザーはAppleのエコシステムの一層深くに閉じ込められることとなった。
iPhone 4Sと同時に発表されたSiriは、前世代iPhoneの機能の中では、人々がさかんに口にした(しゃれを言っているのではない)話題の機能の1つだ。Siriは印象的だったが、発表時にはまだ機能が少なく、ささいな質問に答える程度のことや、人々が「Siriにこんなことを言わせた」というバイラル動画を撮るための役割くらいしか果たしていなかった。Siriには確かに、近くのレストランを探す、「Wolfram Alpha」にアクセスする、会議のリマインダーを出させるといった実用的な利用法はあったが、ユーザーの間では、Siriを困らせたり、言い返してくる電話という目新しさをただ楽しんだりということに関心が集まっているように思えた。サムスンは、「GALAXY S III」に「S-Voice」という同様のアプリを搭載しており、米CNETのJessica Dolcourt記者がこれらの機能の比較記事を執筆している。
iOS 6では、iPhoneとのやりとりにおいてSiriがさらに重要な手段となるような機能が与えられている。Siriには、アプリを開く、最近の質問を記憶する、そのユーザーのiPhoneで通常使われている機能との連携を強化するといった機能が追加されており、全体的にさらに便利になると思われる。Siriにスポーツの試合結果を質問して、見やすいスコアボードをSiriのウィンドウに直接表示させ、それをタップしてさらに詳しい情報を得るといったことも可能になる。同じように、Siriに映画について聞くと、「Rotten Tomatoes」(米国の映画レビューサイト)の映画一覧インターフェースが表示されるため、外部アプリを開く必要がない。新しい「Yelp」との連携機能は、レストランについて、営業時間や料理の種類といった多くの情報を提供する。どれも革新的というわけではないが、便利なのは確かだ。もちろん、電話をかける、リマインダーやアラームを設定する、天気予報をチェックする、会議のスケジュールを入れるといったことも今まで通りできる。しかし機能の追加によって、ルート案内(前のMapsのセクションで説明した通り)や、FacebookやTwitterへの投稿、文章や電子メールの読み上げなども可能である。
WWDCで発表された新しい「Eyes Free」機能では、Siriが自動車内に組み込まれる予定だが、この機能はiOS 6のリリース時点ではまだ利用できない。報道によれば、Appleは自動車のハンドルからSiriを使えるようにするために、トヨタ自動車、GM、Mercedes、BMW、本田技研工業、Audiといった自動車メーカーと協力しているという。スクリーンをオンにしなくても、音声によってアラートが発信されるのだが、自動車への統合とは、ハンドルから手を離すことなく、安全にSiriを使えるようになることを意味する。はっきりした発表日はまだ不明だが、Appleは、同社のパートナーは新しい自動車への統合を(6月から数えて)12カ月以内に完了する予定だとしていた。
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