2011年12月に設立されたKLab Ventures。KLabのマザーズ上場から間もなくして立ち上がった同社だが、公開されている投資実績は、音楽サービスを展開する米BeatroboとインドネシアでCtoCコマースを展開するTokopediaの2社にとどまる。
同社は今後どのような姿勢で起業家たちと向き合っていくのか。また、ジョイントベンチャーの強みは何なのか。当時29歳という若さでKLab Ventures代表取締役社長に抜擢された長野泰和氏に聞いた。
SBIインベストメント(SBI)とのジョイントベンチャーです。3月に1号ファンドを設立しており、年内に30億円規模のファンド運用を予定しています。SBIとKLabは長い間協力関係にありました。上場を機にまた新たな関係を構築しようということでこのプロジェクトを開始したという流れです。
またKLabの事業戦略の一環、というよりは真田(KLab代表取締役の真田哲弥氏)の意向が大きく影響している事業かもしれません。彼は学生の時からさまざまなベンチャーを立ち上げた起業家です。私は当初、取締役として参加していたのですが、(代表取締役社長になったのは)やはり「若い人間が挑戦する」という姿を世に示したかったというのはあると思います。
私たちが追いかけてきたソーシャル、スマートフォンの次の可能性を模索するということと、SBI側のネットへの注力ということが合致して今回のファンドになった、というイメージです。今、ソーシャルやスマートフォンといった要素を掛け合わせることで、ビジネスがスケールしています。KLab本体はゲームでスケールしたわけですが、そのほかの分野も追いかけたい。しかしそのリソースがなかなか割けなかった。そういったところからこの事業が立ち上がりました。
実はKLabには、事業開発の部署は10年ほど前からあります。私もプロパーとしてKLabに入社し、ずっとこの新規事業畑です。この部署で真田の指導を受けてきました。厳しかったですよ(笑)
確かに私は金融経験者ではありません。ですがそこはSBI側のメンバーが精通しているので、信頼して任せることにしています。私以外の役員を除くと現在6名のメンバーで、SBI側から4名ほど、それぞれスタートアップに興味ある人材が集結しています。
30代前半の活動的で若いメンバーが中心です。真田やKLabのエンジニアを含めて、起業の現場を数多く経験した人材をメンターにできるのが強みです。事業会社のKLabをバックアップに使えるということでしょうか。
こんな話があります。あるサーバサイドに悩んでいる会社があって、KLabの社員がコンサルティングをしたところ、その問題が解決した。ほかのインキュベーターやベンチャーキャピタル(VC)と比べて“具体的にやれる”というところに格段の差があります。投資先の成功の確率をどう上げるか? そこにチャレンジしたい。我々のアイデンティティはそこなんです。
すでに投資を行っているBeatroboやTokopediaに加えて、あと3社への投資を実施予定です。「ソーシャル○○」といったサービスが登場しても、日本の状況を見ればわかるとおり、ほとんどのサービスが儲かってない。シリコンバレーと同じような発想でビジネスを作ろうとしても難しい。
世界的に見ても、たとえばEtsyやZaarlyといったCtoCマーケットプレイスの盛り上がりは感じられますが、まだこれからでしょう。なので、今はこういった最先端に偏らず、目の前のビジネスが見えているものもバランスよくみようと考えています。
範囲としてはネット関連のビジネスでソーシャル、スマートフォン、企業向けやコンシューマー向けというのにはあまりこだわってないです。手探りの時期からどんどん攻めていこうという段階に移りつつあります。これからプレスリリースを沢山出していきますよ。
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