スタートアップへの投資と、インキュベーションプログラム「インキュベイトキャンプ」を展開するインキュベイトファンド。それぞれベンチャーキャピタル(VC)業界での実績豊富な同社のパートナーたちは、なぜシードステージの支援に注力するのか。インキュベイトファンド代表パートナーの本間真彦氏、同じく代表パートナーの和田圭祐氏に聞いた。
シード期におけるVCの立ち位置をどういう風にすればよくできるのか、ということを考えています。証券系、金融機関系のVCにとって、そもそも事業構造的にシードへの対応というのは難しいものなんです。だからVC側がシード側へ歩み寄って、このコミュニティ全体を発展させる必要があったんです。
インキュベーターは起業家を支援する時に、どうしても事業経験が長いので、「ノウハウを教える」という発想に偏りがちです。どういう投資家がいて、どういうIPOを求められるのか? こういうことを知らない人が多い。ゴールを知らずしてシードに関わると結果的に最終的な整合性がとれない状況になってしまうかもしれない。VC出身者として(編集部注:本間氏は新卒でジャフコに入社している)次の投資機関、証券市場に出た場合どうなるか、そういうことを説明する必要性があるんです。
和田:そもそもシード期への投資はリスクが高いですよね。なので、投資側に経験とリサーチ力がないと怖い。彼らは基本的にレイター、つまり後期の投資を主に担当してゼロイチの現場に対する経験が不足しているんです。でもこれは仕方がないと思います。
本間:シリコンバレーの起業家達がファイナンスをきれいに決めているのは、もちろん市場の状況もあるけれど、1つの理由として立ち上げが我流じゃないんですね。創業期から投資家と一緒にやるスタートアップ――たとえばモバイル決済の「Square」などもですが――投資家と事業を始めて、投資家がいる市場に上がっていく。シードステージへの投資家として、リスクは確かにとっています。でも投資家を理解し、積極的に活用する起業家と一緒にやればリスクは減るんです。
私は投資家と一緒にやっていく起業家がどんどん増えると考えています。最近の起業家はそれなりの知識を持っているし、違いが出るとしたらリソースの問題。売上でキャッシュフローを回しながらやっていれば、いつの間にかFacebookが出てくるし、Zyngaにやられてしまう。それだけマーケットがフラットになってきているという証拠なんです。リソースはイコール資金です。たとえば、ライフネット生命保険やgumiは未公開段階で、巨額の資金を集めることに成功しました。そこまでの額とは言わずとも、あのような調達ができる起業家は成功する確率が高くなってくると思います。
本間:私たちも日本の市場でやってきましたが「今のままでいいのか」という考えは常にあります。韓国や台湾、東南アジアに北米。市場として見てはいけない訳ではないですが、急に拠点を拡大するということはありません。ただ、ソーシャルゲームなどは特に、海外からの買収オファーがあるわけです。そうなった時に資金やリソースの調達がスピーディーにできるよう、日本プラスアルファというスタンスで考えてはいます。
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