筆者は米国時間7月20日午前、お気に入りの「Android」デバイス2台(サムスンの「Galaxy Nexus」スマートフォンとASUSの「Nexus 7」タブレット)に「Firefox 15」のベータ版をインストールした。
ブラウザのインストールか、それは大仕事だ。読者の皆さんはそう言うかもしれない。
これは大仕事であるべきではないのだが、現実は異なる。なぜなら、「iPhone」や「iPad」、やがて登場する「Windows RT」タブレットには「Firefox」をインストールできないからだ。
しかし、Androidにおいては、Googleはほかのあらゆるブラウザが同社自身のブラウザと直接競争することを認めている。そうした理由から、筆者は日常的にGoogleの「Chrome」とともに「Opera Mini」と「Opera Mobile」を併用している。1000万回以上インストールされている「Dolphin Browser HD」も人気のある選択肢の1つだ。
競争を恐れないGoogleを称賛しよう。
AppleやMicrosoftがそうしたように、GoogleはAndroidでほかのブラウザを禁止したり、大きな障壁を設けたりすることも簡単にできただろう。
GoogleがChromeを成功に導くために懸命に努力していることは間違いない。同ブラウザを強引に押しつけて、ライバルたちの怒りを買うこともある。例えば、Chromeの使用を奨励するためにGoogleがテートモダン美術館と共同で取り組んでいるアートプロジェクト「This Exquisite Forest」をChrome以外のブラウザで読み込もうとすると、説明のためのYouTubeの動画と、「This site has features your browser may not support. Please try Google Chrome.(このサイトには、あなたがお使いのブラウザがサポートしていない可能性のある機能が含まれています。Google Chromeをお試しください)」というメッセージが表示される。
それは、1990年代に「Internet Explorer(IE)」と「Netscape」が戦った前代のブラウザ戦争の悪しき時代を思い出させるようなものだ。その当時、ウェブには互換性のないウェブサイトがはびこり、いずれかの派閥への忠誠を宣言するサイト発行者もいた。 MozillaのプロダクトマネージャーであるDave Mason氏は先述のメッセージを見た後、「新世代版の『Made for IE6(IE6向けに作成されています)』バッジだ」とツイートした。
少なくとも、Androidでは、ほかのブラウザにも戦うチャンスが与えられている。欧州連合(EU)はPC市場でブラウザの選択肢があることを支持している。
「iOS」の場合、ブラウザはウェブページの処理や表示にAppleが提供するバージョンの「WebKit」ブラウザエンジンを使わなければならない。さらに、サードパーティー製ソフトウェアではWebKitの「UIWebView」バージョンを使う必要があるが、JavaScriptプログラムの実行という点でこれは、Appleの「Safari」に搭載されているWebKitより処理速度が遅い。
そして、間もなく登場するMicrosoftのWindows RT(現在、モバイルデバイス市場を支配しているARMプロセッサ向けのWindowsバージョン)では、IE以外のブラウザは、一部のハードウェアコントロールに、IEがアクセスできるほど深くまではアクセスできない。
いずれのケースでも、サードパーティー製ブラウザを制限するというAppleとMicrosoftの選択を正当化する、セキュリティおよびユーザー体験上の理由は存在する。ただし、その結果として、それらのブラウザの機能が妨げられてしまっている。
それでも、GoogleはiOS版Chromeを構築し、Mozillaは「Junior」と呼ばれるiOSブラウザの実験に着手している。しかし、そうした状況の下でのブラウザ構築には困難が伴う。
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