毎年のGoogle I/Oカンファレンスで大きな目玉となるのは、プレゼントの時間だ。そこでは、基調講演者が大勢の開発者に向かって、彼らがどのような機器を持って帰ることができるのかを明らかにする。それを聞くと大抵、聴衆は熱狂する。2012年も同じだった。開発者たちは輝きを放つ3種類のGoogleデバイスを家に持ち帰ることになった。そのうちの2つは非常に新しく、一般の人々はまだ購入できないものだ。2日目の基調講演では、4つ目の機器が追加された。
そのような新しい機器に大きな重点が置かれているため、Googleはハードウェアに重心を移そうとしており、ひょっとしたらAppleの主要なビジネスモデルを念頭に置いているのではないか、という印象を受けることがある。
だが、Googleはハードウェア企業ではないし、そうなろうとしているわけでもない。同社は今でも情報企業だ。同社の主要製品はやはり、検索エンジンである。そして、同社は今でも売り上げの96%を広告から得ている。
Googleにとってハードウェアは、従来の事業を成長させるための手段である。そして、今後もそうであり続ける可能性が高い。Amazonと大差はない。Amazonも「Kindle」リーダーおよびタブレットシリーズからどれだけ売り上げを得ようと、本質的にはハードウェア企業ではない。
しかし、Googleはハードウェア(あるいは、同社の視点で見るならば、「Googleアクセスデバイス」か)によって最先端技術を売り込んでいく必要がある。なぜなら、ブラウザベースの検索および広告を提供するという旧来のモデルは、モバイル革命によって脅威にさらされることが増えているからだ。そして、このテクノロジの過渡期においてGoogleには、同社にとって有利なデバイスを作るように同世代のハードウェアメーカーを誘導する機会がある。
モバイルユーザーは旧来の方法でウェブを検索するだけの端末サイズを持ち合わせておらず、そこに関心を向けることもないだろう。また、旧式の広告リンクに注意を払うこともないだろう。しかし、Googleの売り上げは依然として広告からもたらされている。Googleは同社のモバイルOS「Android」を使用するスマートフォンメーカーから料金を受け取っていない。その代わりに、同社自身のモバイルアプリ内の広告や、サードパーティー製Androidアプリに表示されるモバイル広告から売り上げを得ている。
Googleは極めて巧みにAndroidをスマートフォン市場に売り込んでいる。タブレットに関してはそこまでうまくはいっていないが、それもGoogleが負けてはいられない戦いである。独自のタブレットユーザーベースの再獲得を目指すGoogleの試みとして「Nexus 7」が登場したのはそのためだ。Googleが必要としているのは、タブレットに搭載されたAndroidを、開発者や影響力のある人々に周知して、胸を弾ませてもらうことだ。同社がGoogle I/Oでタブレットを配布したのは、これが理由だ(同社は2011年にも「GALAXY Tab 10.1」タブレットを配布している)。
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