「FakePhone!」は、誰かから急に電話がかかってきたように周囲に見せかけることで、会議や飲み会などから抜け出す口実を作るアプリだ。単に音が鳴るだけではなく、電話口からリアルなダミー音声が聞こえるので、それに合わせて相槌を打つことで、さも実際に喋っているかのように演出できる。
利用にあたってはまず架空の話し相手を設定する。設定する項目は、表示名、音声、着信音の種類、着信時刻などだ。実際に電話が鳴っているところを誰かに見られる(もしくはわざと見せる)可能性を考慮し、表示名はなるべくリアルなものを設定しておくとよいだろう。
設定が完了したら「セットする」のボタンを押す。画面が真っ暗になり、上部にタイトルバー、右下に時刻だけが小さく表示された状態になる。この状態で設定時刻まで待つと、電話がかかってきたかのような着信音およびバイブ音とともに、設定した表示名が画面に表示される。この画面は厳密にはiPhoneデフォルトの着信画面とは異なるのだが、いかにもiOSライクなデザインなので、怪しまれることはあまりないだろう。
画面下に表示される「応答」ボタンを押すと、通話状態に相当する画面に切り替わり、設定した音声がスピーカーから再生される。例えば「男性(ビジネス)」であれば、企画書の至急の修正を依頼する男性ビジネスマンの声が、「女性(ホビー)」であれば、急な飲み会に誘う若い女性の声が再生される。これに合わせて適当な相槌を打っておけば、傍目からはいかにも実際に会話をしているように見えるので、そのまま場を抜け出せばよいというわけだ。
ネックなのは、スリープの状態では作動しないので、利用時はスリープをオフにし、設定完了後の真っ暗な画面のまま放置しておかなくてはいけないこと。またスピーカーから聞こえてくるリアルな音声はオフにはできず、4つの選択肢のどれかを設定しておく必要があること。前者についてはiPhoneの仕様上致し方ないが、後者についてはスピーカーの音量を下げておくという以外に、オフにできる選択肢があってもよさそうだ。
同じ機能を持ったアプリはいくつかあるが、本アプリは名前やアイコンの自己主張があまり強くないのでホーム画面に配置しておいても目立たない。不本意な飲み会やミーティングに付き合わされることの多い人にとっては、有益なアプリだと言えるだろう。バレて物議を醸さないよう、利用シーンだけは慎重に選びたいところだ。
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