パナソニック、津賀新社長が会見--「収益にこだわりまずは普通の会社に戻す」

 6月28日、パナソニックの取締役社長に就任した津賀一宏氏が、就任会見を開催した。「お客様価値の徹底追求」を掲げ、本社機能の見直し、今後取り組む商品構成などについて話した。


パナソニック取締役社長の津賀一宏氏

 2月の人事発表から就任までの数カ月間、多くのビジネスユニットやドメインを訪問したという津賀氏は「戦うリソースは十分にある。多くの現場を訪問し、現場に強みがあることを感じた」と現状認識を話す。

 パナソニックには現在約90のビジネスユニットがある。その現場を見た上で津賀氏は「多くのインプットに対してアウトプットが極めて少ない」と問題点を浮き彫りにした。

 アウトプットを増やすためパナソニックが取り組むのは、お客様価値を徹底追求すること。「パナソニックのDNAはお客様にフォーカスすること、しかし今の経営状況から考えると本当にお客様が見えているのか、ライバル企業よりもお役に立っているのか、という反省がある」と言う。

  • 新本社の目指す姿のイメージ

 こうした中「内向きの事業を減らす」とし、本社機能の見直しを図る。全社サポート部門(仮称)を設置。新しい本社は資本市場に向き合いながら全体の戦略を図っていくという。新本社は10月1日にスタートさせる意向だ。

  • 「お客様価値提案」の目指す方向性

 また「お客様価値提案」の目指す方向性として、チャートを用意。その中には「住宅空間」「非住宅空間」「モビリティ」「パーソナル」と4つのセグメントを配置した。「その中央に位置するのがお客様」と方向性を示す。

 「目指す姿は高収益企業。しかし我々がそれを口にできる状況ではない。そのステップとしてまずは普通の会社になることを目指す。この改革には時間軸で勝負していきたい。スピード感を持って、前向きにチャレンジする」と話した。

テレビはもはや白物、住宅の一要素と捉える

 大幅な赤字決算の要因とされるテレビ事業については「先ほど発表したチャートで、テレビは住宅空間の中に入っている。ということはテレビはもはや白物であるという意味。住宅の中の一要素だと考える」とし、現状については「昨年1年間でやれる改革は全社をあげて取り組んだ。その結果ここへきて赤字からの脱却が見えつつある。一部パネルについては非テレビ用途への転換を図っている最中だが、手応えを感じている」と説明した。

 韓国メーカーが優勢とされるテレビ市場の現状について問われると「我々はデジタルの新しいインフラを立ち上げることに一生懸命になっていた。パナソニックはインフラの変化をリードする役割を担っており、自らデバイスもやらなければならなかったし、フォーマットも作らなければいけなかった。そういう重いしがらみの中でデジタル化を推進してきた。

 そういう意味では2005年までで考えると決して負けてはいかなかったが、一段落してくると今度は端末競争になり、技術がモノを言うだけでなく、デザインやマーケティングが重要になってきた。我々は技術やモノ作りに自信を持っていたために端末という商品を十分に見られなかった」と振り返った。

 また6月25日に発表されたソニーとの有機ELパネルの共同開発に対しては「デバイスの進化はこれからもあると考えている。そういった技術をすべて自前で作ることはできないので、ソニーと協力しながらやっていく。ただ、今のテレビの価格に近いところまで持っていくには相当な時間がかかる」とした。

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