パナソニック、2012年度事業方針を発表--成果問われる年、V字回復実現へ

 パナソニックは5月11日、2012年3月期の連結決算と2012年度の事業方針説明会を開催した。当期純損失は同社過去最大となる7722億円となった。

  • 写真右から代表取締役社長の大坪文雄氏、常務取締役の上野山実氏

 説明会には、代表取締役社長の大坪文雄氏と、常務取締役の上野山実氏が登場。最初に上野山氏が2012年3月期(2011年4月~2012年3月)決算と、2013年3月期の見通しを発表し、続いて大坪氏が事業方針を話した。

 2012年3月期決算では、売上高が前年比10%減の7兆8462円、営業利益は437億円、当期純利益は7722億円の赤字となった。純利益は過去最大の赤字となったが、2月の公表値7800円億円からは赤字幅を縮小しており、上野山氏は「いずれも大幅な減益となったが、2月の公表値からは少し改善した」と話した。

 また、2012年3月期第4四半期(2012年1~3月)のみを見ると、売上高は前年同期比8%減の1兆8808億円、営業利益は42億円の黒字転換となっており、第3四半期を底にして営業利益は増益基調に転換したと見ている。

 2013年3月期の年間業績見通しについては「アジアと中国で二桁の伸びとなり、国内外ともに増収を確保する。構造改革効果の刈り取りと売上増により利益は大幅に改善。すべてのセグメントで増益を実現する」(上野山氏)とした。

 これにより売上高は前年比3%増の8兆1000億円、営業利益は2600億円、当期純利益は500億円を見込む。

有機ELはベストパートナーと組んで展開したい

 続いて登壇した大坪氏は「2012年度はかつてないほど、成果が問われる年であると認識している。なんとしても業績のV字回復を実現する」として、事業方針を説明した。

 2012年度はグループの基本指針として収益にこだわる、商品を鍛える、自ら変える・変わるの3つを据える。

 課題事業となる薄型テレビについては、モデルの絞込み、大画面へのシフト、スマートテレビのグローバル展開などとともにセット事業の黒字化を目指す。一方で、非テレビ用途への展開を図ることで、パネル事業の収支改善に取り組むとのこと。

 従来までの薄型テレビについては「結果として過剰投資になったと判断している。大規模投資を実施した後で、リーマンショックや円対ウォンの問題が起こり、結果として目指したような台数を作っても収益を上げられなかった。反省をしている」(大坪氏)との認識を示した。

 ただし商品的な位置付けについては「テレビは社会の変化をリードしてきた代表商品の一つ。テレビの必要性は変わらない」と話す。有機ELテレビへの取り組みについて尋ねられると「すべて自前で投資してという可能性は極めて低い。ベストパートナーと手を組んでやっていきたい」と話した。

 成長事業として挙げた、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などのアプライアンスに関しては「収益の柱であるとともに、海外での成長機会を追求する」とのこと。白物家電のグローバル展開に関しては「白物家電がグローバルで展開できるというのは足で稼いで得た情報」とした。

 また、新規事業として取り組む「まるごとソリューション事業」に関しては、「100本の矢」としてモデル事業を100個展開するとしていたが、現在25個が事業化段階にあり、もう25個が事業化、新創造段階にあるとした。

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