自分を作り上げる「道筋を作りなさい」--LinkedInのホフマン会長、学生らと対話 - (page 3)

杉山貴章(オングス)2012年06月25日 15時20分

安心できる場所を飛び越えることでセレンディピティが得られる

 「大学生のうちからスタートアップを始めても問題はないのか」という質問に対して、Hoffman氏は「もちろん、いつ始めてもいい」と断言。その上で「自分のアイデアが市場で受け入れられるかどうかをテストするために、社会を知っているサポーターを見つけることが大切」だとアドバイスした。スタートアップを成功させるためには市場環境を意識した製品のビジョンをしっかり持たなければならない。それを見極めるためには市場での十分な経験が必要になるからだ。

ライフネット生命代表取締役副社長 岩瀬大輔氏
ライフネット生命代表取締役副社長 岩瀬大輔氏

 また、ライフネット生命の岩瀬氏からは「GREEの田中さんは『作りたくて作りたくて仕方がなかった』と言っています。迷っている時点ではまだ気持ちが足りないのではないか」という指摘が飛び出した。

 とはいえ、スタートアップを目指しつつも、最終的な目標地点が定まっている人ばかりではないだろう。そのような若い起業家が、自分の強みを見つけるにはどうしたらいいのだろうか。近藤氏は、「最初から必要なことがわかっている人ばかりではありません。まず飛び込んでみて、それで分かることもあるはず。成功した人の中には、最初に強い思いを持って中に飛び込んで行った経験をもつ人も多い」と話す。

 岩瀬氏はそれに補足して、“セレンディピティ”を大切にするよう指摘した。セレンディピティとは、“思わぬ価値あるものを発見する能力・才能”を指す言葉だ。岩瀬氏自身、NGOの活動でセネガルに向かった際に偶然の大きな出会いがあり、セレンディピティを感じたという。「そのようなセレンディピティがあったのは、思い切ってNGOに参加してみたからこそ。自分が安心できる場所を飛び越えてみるということもときには重要です。そういう場所でこそ、出会うべきものに出会えるはずです」と岩瀬氏は語った。

 いい出会いを見つけ、ネットワークを広げるということに対しては、Hoffman氏も次のように指摘している。

「いろいろな活動に参加すれば、いい出会いにつながる可能性が広がります。大切なのは、今世の中で何が起こっており、何が求められているのかをよく考えることです。その上でいろいろなバイアスのかかったアクションを取ってください」(Hoffman氏)

モデレーターを務めた多摩大学大学院客員教授の本荘修二氏
モデレーターを務めた多摩大学大学院客員教授の本荘修二氏

 また、近藤氏はネットワークを広げるためには他人から信用される行動を取るように意識することが重要だと呼びかけた。

「一緒に仕事をする相手を探すとき、私はまずその人の周囲にいる人にアクセスします。周りの人からの信頼を得ている人と仕事をすると、うまく進むことが多いからです。同じように、自分が人から信用されるように誠実に行動していれば、たくさんの人がリファーしてくれるはずです」(近藤氏)

 これについては、モデレーターの本荘氏も次のように付け加えている。

「セレンディピティを殺すのは簡単です。打算的になることです。目の前の小さな目的のために他人を利用しようとすれば、つながりというのは簡単に消えてしまうでしょう。他の人とのパートナーシップを築き上げるには、まず自分が魅力的で、信頼できる人間にならないといけない」(本荘氏)

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