同氏は、スタートアップでは最初のステップとして少なくとも50人のつながりを作ること、次のステップとして、そのつながりの中で自分に何ができるのかを模索することが必要だと指摘している。
とはいえ、信頼できる仲間を見つけてチームに招き入れることは簡単ではない。本荘氏からそのコツを問われると、「一般的には、仲間を見つけるのは結婚のようなもので極めて難しい。だからこそネットワークが重要なのです」と回答した。自分と何らかのつながりを持った相手であれば、赤の他人に比べてよほど多くの情報を得ることができるからである。
Hoffman氏の場合、会社をスタートアップさせるときの最初のメンバーは、自分のネットワークと何らかのつながりがある人から選ぶことが多いという。会社の性格というのは創業当時のメンバーによってある程度決まってくる。そのため、最初の段階では特にネットワークを最大限に活用することが重要になるわけだ。LinkedInはそのようなネットワーク作りのための極めて有用なツールとなる。
「SNSでのプロフィール公開は『自分を売り込む行為』だと躊躇する人が少なくありません。しかし、そうではなくて、あなたが周りの人に対してどんな価値を提供できるのかを知らせる行為だと考えてみてください。その価値によって、誰かの手助けをできるかもしれません。協業するパートナーとなり得るかもしれないのです。そのように考えて、積極的にプロフィールを確立してください」(Hoffman氏)
続いて、Hoffman氏、近藤氏、岩瀬氏、そして本荘氏が登壇し、「スタートアップの自己実現をどう成し遂げるか」をテーマにパネルディスカッションが行われた。対象が学生ということで、それぞれの学生時代を振り返ることから話は始まった。
Twitter Japanの近藤氏は、海外留学時代に貧困による飢餓を考えるグループで活動していた。それから20年後の2007年、世界の飢餓と肥満の同時解消を目指すNPO「TABLE FOR TWO」の設立に携わった、それは学生時代に持っていた飢餓問題に対する気持ちが20年間ずっと続いていたからだという。その経験をもとに、「若い頃に抱いた純粋な興味や問題意識を大切にしてほしい」と同氏は語る。
「仕事を始めると、何かを売るという企業の理念にとらわれがちになります。しかし本当は、社会を変えたい、誰かの役に立ちたいという気持ちがまずあり、そのために商品やサービスを作っているはず。皆さんにもその原点を忘れないでほしいと思います」(近藤氏)
Hoffman氏の場合は、当初大学で教鞭を取ることを考えていたという。しかし、シンボリック・システムの研究の一環として、企業などの第一線で働く専門家を招いてワークショップを開催したことが、ITの世界に触れるきっかけになった。講師としてある認知科学者を招いたことから、ゼロックス・パロアルト研究所でのインターンシップにつながり、それからソフトウェアによる起業について考えるようになったというのだ。「思い返せば、外部のスピーカーを招くようになった段階から、私の人脈づくりは始まっていました」とHoffman氏は述懐している。それと同時に、学生達に向けて「興味が向いた世界には思い切って飛び込んでみてほしい」と呼びかけた。
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