MacBook AirがiPadを参考に、フラッシュストレージと電源管理を強化したことはご存じの通りだ。30日間のスタンバイと5~7時間のワイヤレスインターネット使用に対応するスペックを実現し、実際の利用でもこれに迫る性能を発揮してくれる。特に、移動を繰り返しながら細切れで作業をする日が多い筆者にとって、スリープ中にほとんどバッテリを消費せずにすむ点は、実際の利用にとても大きな効果を発揮してくれる。
例えば、火曜日に午前中東京都内で打ち合わせをして、お昼から神奈川県藤沢市にある慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに行き、夕方再び都内に帰ってきて夕食会に参加する──という動きをすることが多い。この際、1時間近くある電車移動の時間に原稿を書いたりしている。時間が決まっているので、意外と集中できるものだ。
従来のMacBook Proを使っていると、大学に到着する往路を消化した段階で50~60%ほどまで消費されており、大学で充電しながら使って復路に備える。電車の復路でも原稿を書き、夕食会までの時間カフェに入って引き続き仕事をすると、バッテリを20%程度まで消費して、時間となる。もちろん家に帰ったらすぐ充電。これを忘れると翌朝困ったことになる。
Retinaモデルでは、これと同じような工程を辿り、大学での充電をせずに夕食会直前までの段階で33%を残す結果となった。もちろん従来モデルが2010年から使っている3年目ということもあり劣化を考慮する必要があるが、場合によっては1日、ACアダプタを持たずに行っても大丈夫じゃないか、と思えるくらいの余裕が生まれていることに驚かされる。もちろん、何かの時のためにACアダプタは持ち歩いているが。
写真に触れるまでが長くなったが、筐体の薄型化に合わせるような形で、高さが削減されたMacSafe 2は、従来のヨコ出しコネクタから正面出しのコネクタに変更された。ヨコ出しの方がケーブルがすっきりと配置できてよかったのだが、ポートへの干渉などを考えて戻されたのだろうか。
実はMagSafeはMacのノート型製品で共通の仕様であったため、ACアダプタの貸し借りがとても便利だった。しかし今回変更されてしまったため、変換コネクタ(980円)を用意する必要がある。小さいものなので、どのように保管しようか少し考える必要がある。
解像度の話の前に、反射防止の処理が施されたことはかなりメリットがある。ディスプレイ輝度を下げながら外出先で作業をする際に気になるのが、特に室内の照明のダウンライトは画面上にスポットができてしまって邪魔だ。もちろん反射しない角度を見つけることもできるのだが、ちょうどいい角度で使えないのもストレスだ。
そのスポットがかなり低減されている点は嬉しい。右が従来のMacBook Pro、左がRetinaモデルの画面だ。同じ光源の反射だが、映り込み方がかなり押さえられているのが分かるのではないだろうか。
それにしても、Retinaディスプレイに表示される文字も見比べて欲しい。このくっきりとした文字表示を見てしまうと、ちょっと普通のディスプレイに後戻りできなくなり、家のハイビジョンテレビに表示される番組中の字幕すら、不満になり始めてしまう。
Retinaディスプレイに限らず、高品位なディスプレイの売り文句は美しいグラフィックス。写真やビデオの表示がより美しくなる、と宣伝するのが普通だ。しかしRetinaディスプレイで最もメリットを受けるのは、我々が最も多くパソコンのディスプレイで目にする「文字」だ。
システム環境設定のディスプレイの項目に「サイズ調整」という項目がある。通常は自動的に、2880×1800ピクセルのディスプレイで1440×900ピクセル、つまり従来モデルと同じ解像度を表示している。この解像度を変更し、1920×1200ピクセル、1680×1050ピクセル、1280×800ピクセル、1024×640ピクセルにスケーリングすることができる。この解像度はそれぞれ、これまでのMacBook Proの17インチモデル、15インチ高解像度モデル、15インチ標準モデル、13インチモデルの解像度に相当し、さらにその下のネットブックなどに見られる解像度も用意している。
解像度を下げれば下げるほど、画面に表示されるユーザーインターフェースの文字サイズは大きくなるが、それでもくっきりとした表示は維持される。15インチのディスプレイは、プロ向けだけでなく、これまでパソコンのディスプレイが苦手だった人たちへの価値が大きいのではないか。
筆者はこれまで高解像度モデルの15インチMacBook Proを使って来た。これと同じ環境に合わせることもできるが、通常は推奨解像度に落ち着いた。スケーリングは手軽であるため、込み入った作業をするときに気軽に画面の領域を広げて使うこともでき、使い勝手もよい。
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