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“オープン”に舵を切るKDDI--「Mozilla Factory」参画の意義 - (page 2)

別井貴志 (編集部)2012年06月22日 16時00分
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--個人レベルは別にして、日本の企業はオープンな取り組みに参加したり、活用したりするのは下手だったような気がしますが。

 瀧田氏:一番最初に話したときに、「どれぐらい本気ですか?」とお聞きしましたが、キャリアというとクローズドで、日本は事実としてキャリア主導でモノづくりをやってきたという背景があるので、それを方向転換するような“オープン”ということに対して、勇気ある行動かなとは思います。

 いままで私たちがキャリアだけでなく、いろいろな企業と話をすると、「オープンソースで安くていいモノを早く出してほしい」、そして「クオリティも求める」ということをよく言われました。なかなか、オープンの方に向いてくれなかったのですが、今回このMozilla Factoryの取り組みの中で、企業が最終的に“ビジネス”ということを意識する中で、どれぐらい本気でモノづくりをやってもらえるかは、私としてもまだ未知数ですね。

 高木悟氏:我々だけでなく、日本の企業は常にオープンなモノに対して世界の企業に比べて後追いになっていたと感じています。オープンなモノが、今後どういうかたちでビジネスになるのかというところまで、完全に描ききっているわけではないですが、まずはそういう場にいればこそビジネスも描けるようになると思ってます。

 世の中の流れを見ればクローズドなモノがオープンになっていくというのは、特にICTの世界は比較的一般論として、定説だと思っています。だとすると我々もその仮説に基づいて、オープンなモノと今後どういうふうにつきあっていくべきか、なるべく早いうちに勉強したほうがいいでしょう。かつオープンなモノの中に自分たちが携わっていることで、他者よりも先行してオープンなモノというのはこういうビジネスモデルで、我々はそのビジネスモデルの中で、こういうビジネスができるかもしれない、ということを理解したり、検討したりする土壌を作れるのではないかと考えています。

--そうした考えの中で、Mozilla Factoryには何を期待していますか。

 高木幸一氏:いままでは、どうしても子供の目から見た携帯電話作りやアプリ開発というのは、大人が作ったモノを子供に評価させるという面がありました。子供が子供の視点で作るというのは、まったくなかったと思います。それが、ウェブアプリの世界は、いろんな人がアプリを作れる環境も整ってきていると思います。中高生の方々も巻き込んで、中高生の視点でアプリを作ったり、携帯電話を作ったりしていきたいです。そういう進め方をすることで、まったく新しいモノが生まれるんじゃないか、ということをもっとも期待しています。

 具体的には「未来の携帯電話」というプロジェクトで、アイデアをどんどん出し合い、モックアップを作りながら進めていきたいと思ってます。あとは、携帯電話のうえで動く若い方の視点で見た「新しいアプリケーション」も考えていきたいですね。

 高木悟氏:あと、世の中でなにか大きく進むとき、昔で言えばマイクロコンピュータの時なんかがそうでしたが、秋葉原にNECのビット・イン(1976年9月に秋葉原駅前のラジオ会館7階に普及の拠点として開設)というのがあって、そこに足繁く通っていた層は、たしかに、社会人も通っていましたが、一番通っていたのは中高生だったんじゃないでしょうか。当然大学生もいたでしょう。

 これから何か、1つの分野が革新するであろうモノができるところには、そういう人たちが大きく関心を持って、言葉は悪いかもしれませんが、オタクというか、ギークというか、そういう人たちの層がのめり込めるようなモノが進歩していくんだろうなと思います。そういう人たちというのは、いままでの我々的な考え方からすると、ただ、与えるための低年齢層でしかなかったのです。ところが、マイコンの時を見ると、彼らがマイコンの使い方を定義して、さらにその後の実際のビジネスモデルを定義して、いまのコンピュータの世界、業界の全体が成り立ってきたという歴史を歩んできたと思います。まあ、その頃中高生だった人たちが、いま40代、50代になっているのでしょうけれど。

--そうは言っても、Mozilla Factoryでは各プロジェクトで具体的な成果物が出ない場合もあると思います。その点については、いかがですか。

 高木悟氏:我々が受けている命題は、将来の先取りができる概念や考え方を、Mozilla Factoryのような場で学び取るというのが一番なので、調査のもう一歩先ぐらいというか、しっかりと自分たちで得るものを作ることだと思っています。その先に、どんなプロダクトが出てくるのかといったところは、もう少し先でしょう。

 ただし、オープンソースソフトウェア1つとっても、たとえばLinuxはもはや十分なお金を生み出す商材になっていますし、こういう場で何か作られたモノがお金を生み出す商材に絶対にならないということは言い切れません。そうなると、どんなモノが生まれるかはわからないけれども、やってみよう、やれているうちはがんばろうというところがあります。

Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏 Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏

 瀧田氏:Mozilla Factoryの中で描いているのは、最終のモノが出てこないかもしれないし、しかしその過程の中で出たいろんなアイデアなどは財産の1つになるのです。ディスカッションしている内容を取り上げてみても、すべてがみんなの共有財産になるということで考えると、果たして最終的なモノ、たとえばサンプルやモックなどができることは理想ではあるけれども、その課程で学んだり得たりすることは、絶対あると私は確信しています。

 企業が、どうやって貪欲にそうしたいろいろなことを吸収するのかがポイントでしょう。企業と企業の出会いもあるだろうし、人との出会いもあるだろうし、そういう場であり続けたいというのは、すごくあります。ですから、「最終的にモノを作り上げるのがゴールではない」と言い続けているのです。

 W3Cの話しがありましたが、企業同士が企業という垣根を越えてきちんとディスカッションして欲しいと思うし、ディスカッションして、その上で自分たちの野心的な部分というのは、どこかに合ったとしても、そこは技術の進歩のために企業の殻を外して欲しいですね。Mozilla Factoryも同じで、いまKDDIが手を挙げてくれましたが、もしかしてこの先に競合企業が入ってくるかもしれない。その時に、Factoryの中では、目標などに向かって、一緒にやって欲しいと思うし、一緒にできたらすごいと思いませんか。来る者は拒まず、去る者は追わずの精神でやってはいますが。

 あと、Mozilla Factoryでは「おもしろい」という視点が重要だと思ってます。参加している子供たちがおもしろがってやる、という視点ですね。大人がいいとこ取りをするんじゃなくて、きちんと対等な立場で、上下関係なしのフラットなかたちでのモノづくりの場にしたいのです。そして、これはオープンソースのポリシーでもあります。

 高木悟氏:オープンソースも、最近はオープンハードウェアというのも盛り上がってきています。オープンハードウェアのユーザーエージェント、デバイス、そういうものまで視野に入れていきたいと思ってます。Mozillaでいえば「mecha-mozilla」のようなものです。

 最近、個人的にはArduino(アルドゥイーノ、設計情報は無償公開されている。プロジェクト自体は2005年から)に注目しています。オープンハードウェアとしてもっとも成功しているケースだと思いますが、これはすでにビジネスになっている気もします。こういうものが今後どんどん出てきて、まだ、Arduinoはまだウェブブラウザがのるほどではないですが、次の世代のArduinoが来始めていて、そろそろブラウザがのるようなものになってくるんじゃないかと思っています。そうすると、我々が定義する携帯電話もまるで変わってしまうのではないでしょうか。

 いずれにせよ、「オープン」と「HTML5」にフォーカスしつつ、Mozilla Factoryの場でも勉強させていただいて、オープンへの取り組みをまずはキャッチアップしていきたいと思います。

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