WWDC解説:松村太郎が読み解くWWDC--4つのキーワード(前編) - (page 2)

2:大きく変わるMacの基準=新世代MacBook Pro

  • 黒い幕が掛かったノートパソコンが登場

 WWDCの壇上において、Appleのフィル・シラー氏がMacBook AirとMacBook Proの性能向上版を披露した。さらに、「さて次の発表は?」と、画面の中で黒い幕が掛かったノートパソコンを登場させ、「新世代MacBook Pro」が発表された。正式な名前は「MacBook Pro with Retina display」(日本語ではMacBook Pro Retinaディスプレイモデル)。

 iPhone、iPadで提供されてきた“網膜”の名を取るRetinaディスプレイは、これまでのディスプレイにはなかった細かい画素数を実現し、高精細で美しい表示という差別化要因を作り出すことに成功した。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルでは、おなじみの15.4インチのディスプレイサイズに、4倍の解像度となる2880×1800ピクセルを凝縮し、これまでにない高精細な表示を実現している。

  • 15.4インチのディスプレイサイズに4倍の解像度となる2880×1800ピクセルを凝縮

 また、こちらもiPadと同様、ハードディスクや光学式ドライブを排除してフラッシュメモリを採用したことに伴い、MacBook Pro自体の内部構造も一新し、薄さ1.8cmというこれまでより25%の薄型化も実現した。それでいて、アルミニウムボディやフルキーボードなどのこれまでのデザイン性や快適性は保持し、マイクやスピーカーなどをリ・デザインするなど、アップルのデザインとエンジニアリングを余すことなく体験できる。

 2012年3月に発表された新しいiPadは、iPad 2と同じ画面サイズにRetinaディスプレイを搭載し、フルハイビジョンテレビ以上の解像度を9.7インチのサイズで利用するという全く新しい体験を提供した。高解像度をいとも簡単に動作させるグラフィックス処理の性能を向上させたA5Xプロセッサや、場合によっては米国の家庭のDSL回線よりもスピードが速い4G LTE接続など、iPadの体験を飛躍的に向上させた。

 iPad向けにはこれまでPages、Numbers、KeynoteのiWorkビジネスアプリケーションが提供されてきた。加えて、iMovie、GarageBand、そしてiPad発表時に提供が開始されたiPhotoを合わせたiLifeアプリケーションも出揃った。つまり、Appleが提供するコンシューマー向けのアプリケーションはMacでもiPadでも利用できる環境が整ったことになる。

 Appleが提供するコンピュータについての標準的な体験がMacからiPadへ移ったことを意味し、このことは2012年以降、Macがより自由に進化を遂げられるようになることを意味する。そう考えると、iPadのトレンドを存分に受け継いだプロ向けマシンである新世代MacBook Proは、その序章に過ぎないと言えるだろう。

WWDC解説:松村太郎が読み解くWWDC--4つのキーワード(後編)

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