Creative Cloudこそが未来のツールの姿--アドビ幹部、クラウドを語る

 アドビ システムズが、クリエイティブツール群の新バージョン「Adobe Creative Suite 6」、そしてサブスクリプションによるクラウドサービス「Adobe Creative Cloud」の提供を5月11日に開始した。

 ここ最近、アドビCS製品群のバージョンアップは、ほぼ1年から1年半の周期で一斉に行われるというサイクルが定番化していたため、それを考慮に入れたパッケージのバージョンアッププランを立てていたユーザーも多かったのではないだろうか。しかし、今回よりラインアップに加わった「Creative Cloud」の登場と、それに伴うパッケージ版アップグレードポリシーの変更によって、その計画を再考せざるを得なくなった。

 Creative Cloudの内容については、既に多くの情報が出ているが、ここで改めて整理しておこう。

 Creative Cloudは、月額5000円(年間契約の場合)で利用できるサブスクリプション形式のサービス。契約期間中に利用できるのは「Adobe Creative Suiteの全アプリケーション(ダウンロード利用)」、タブレットデバイス向けの「Adobe Touch Apps」製品群、20Gバイトのクラウドストレージ、Adobe Business Catalyst、Adobe Typekit、Adobe Digital Publishing Suite Single Editon、その他コミュニティサービスなどとされている(現時点ではスタートしていないサービスも含まれる)。

 アドビでは、パッケージ製品におけるアップグレードのサイクルを待たずに最新のバージョンが利用できる点、契約期間中に新サービスの追加などがあった場合でも追加料金等は発生しない点、ツール以外にクラウドストレージやWebホスティング、電子出版サービスなども利用できる点などをCreative Cloudのメリットして挙げている。

 一方で、従来型のパッケージ製品については、アップグレードポリシーの変更を行い「アップグレード版の提供は1メジャーバージョン前まで」とした(移行措置として、CS6については2012年末までの期間限定で、CS3以降のユーザーに対してもアップグレードを提供する)。さらに、これとは別に各製品単位での「サブスクリプション」提供も行っている。特にこれまで各エディションのスイート製品を利用していたユーザーにとっては、次にどのタイミングで、どの形式にバージョンアップするのが最もリーズナブルなのか、なかなか悩ましい事態になっているのだ。

 「Creative Cloudこそが、未来のツール提供の姿になると考えている」と話すのは、Adobe Systemsのデジタルメディア事業部門で、Creative Pro製品担当のバイスプレジデントを務めるMala Sharma氏だ。

 今回、Sharma氏と、アドビ システムズ日本法人の代表取締役社長であるCraig Tegel氏に、改めて「Creative Suite」の提供に至った経緯を聞いた。

Mala Sharma氏(右)とCraig Tegel氏
Mala Sharma氏(右)とCraig Tegel氏

「サブスクリプション」はユーザーにとっても魅力的

--昨年秋にCreative Cloudが発表されてからリリースまでの間、サービスの全容や価格体系がなかなかオープンにならなかったこと、パッケージ版アップグレードポリシーの突然の変更などがあったことで、混乱したユーザーも多かったように感じています。この間、社内ではどのような議論がされていたのでしょうか。

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