京都の街にコワーキング文化を浸透させる--四条烏丸「小脇」

 古くは呉服問屋街としてにぎわった、京都の繁華街、四条烏丸。この古き良き場所に、新しい働き方を模索するコワーキングである「小脇(こわき)」がある。

アートスペースとコワーキングが連動

 小脇を運営するのは、ウェブエンジニアの池田大介氏だ。3年ほど前から独立し活動している。もともと自宅を中心に作業をしていたが、個人での作業のメリハリのなさに不満を持ち、他者とのコミュニケーションから新しい「気づき」を得る方法を模索していた中でコワーキングという概念に出会った。「海外の記事などでコワーキングという単語を知り、書籍『シェア』などからその可能性に魅力を感じた」(池田氏)


小脇を運営する池田大介氏

 そこで池田氏は京都でウェブに関わる仕事をしていた友人らとコンセプトを練り、スペースの開設に向けて動き出した。そうした中で池田氏らは四条烏丸でアートや演劇をおこなう活動をしているNPO「AKIKAN」と出会った。そして2011年6月、AKIKANが運営するコミュニティスペースを、平日昼間はコワーキングスペース、平日夜や週末はアートスペースとして利用する形で小脇をスタートするに至った。

アートやJELLYコラボでコワーキングを盛り上げる

 小脇の席数は30席程度。イベントなどの際は、最大で40名程度を収容可能だ。小脇はビルの3階だが、同じビルの2階には、AKIKANの演劇のスペースがある。

  • 小脇の様子。スペースも広く、作業しやすい

 「最初はなかなか人が来なかった。周囲のIT系の人たちに声をかけるだけでなく、AKIKANの展示などで訪れた人たちなどを対象に小脇について少しずつ広めていった。コワーキングのための場所であるだけではなく、展示やワークショップを組み合わせ、さまざまな刺激を得られる場所にすることで、ビル全体がクリエイティブな場所として認知されるのではないかと考えた」(池田氏)

 まだまだ、東京など都市圏以外ではコワーキングという言葉や意味が浸透しているとは言いがたいと池田氏は語る。IT業界の人たちのコラボレーションなどはすぐに理解できるが、それ以外の分野と関連づけるのは難しい。そこで、デザインやアートなどの業界の人たちとふれ合う機会を作り、これまで出会いにくなった人たちを組み合わせることで、スペースの価値を高めようと考えている。

  • アートスペースとして作品展示なども行われる

 池田氏はまた、京都市内各地にあるコワーキングスペースと連動し、コワーキングの文化を広める活動を続けている。コワーキングの体験イベントである「JELLY」を、「Jelly! Kyoto」として各コワーキングスペース持ち回りで毎月1回開催。普段なかなかコワーキングという働き方に触れる機会が少ない人たちに向けて、交流する機会も設けている。

 「小脇だけだとやはり情報の発信は難しい。他の企業やスペースがもっともっとコワーキングを知ってくれたらと思い、呼びかけを始めた。JELLYを通じて気軽に足を運んでもらうことで、それぞれのスペースが活性化すればいいと考えている」(池田氏)

 東京などと違い、京都ではカフェなどで作業したりするスペースは少ない。そのため、いかに人の流動性を高めるかという仕掛けについて日々試行錯誤しているという。さまざまなイベントや企画を行い、いい反応があったものを継続的に実施する――常に新しいチャレンジをすることで、徐々にコワーキングの考えが浸透していく、と池田氏は期待する。

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