FacebookがOpera Softwareの買収を考えているとしたら、このノルウェーのブラウザメーカーの株価はちょうど値上がりしたところだ。
先週、FacebookがOpera買収を検討しているとのうわさが流れた後、Operaの株価は20%(6.70ノルウェークローネ)も急騰し、米国時間5月29日の取引では約41ノルウェークローネ(6.83ドル)まで値上がりした。
これにより、同社の時価総額は8億1100万ドルとなる。あるいは、インターネット上の冗談めかした記事ならば、Instagramの買収額を基準にして、約0.8 Instagramと表現するかもしれない。
この金額は、プレミアムを上乗せする前でもかなりの高額だ。また、Dvorzak Investを通じてOpera株の10.1%を保有しているOpera創業者のJon S. von Tetzchner氏が障害となる可能性がある。同氏は29日にReutersに対して、Operaには自社のビジネスの成長に専念してほしいと語った。「Operaは成長と、良い結果をもたらすことに集中してほしいと考えている。Operaには大きなチャンスがあるからだ」(von Tetzchner氏)
しかしFacebookは、新規株式公開(IPO)をめぐる先週の混乱状態にもかかわらず、870億ドルの時価総額を有しており(本稿執筆時点)、これは同社にある程度の柔軟性を与えている。そして、米CNETの姉妹サイトZDNetでSteven J. Vaughan-Nichols氏が書いたように、「Zuckerberg氏は、同社の株主と取締役会のどちらにも従う必要があるわけではない」
Operaはコメントを拒否した。米CNETはFacebookにもコンタクトしているが、回答は得られてない。Pocket-lintは先週、FacebookがOperaを買収しようとしていると報じ、The Next Webがさらに、Operaは「同社を買収するかもしれない複数の企業と交渉している」と伝えた。
Facebookがブラウザ企業を買収しようとするのはなぜだろうか。自社の運命をより良くコントロールするためだろう。
その理由としては、最近では垂直統合が大流行し、Appleが持つ密接に関連し合った一連の技術にあらゆる企業が追いつこうとしていること、またブラウザがソフトウェアスタックの基盤的な層としてますます重要になっていることがある。
HTML5やCSS3のようなウェブ標準は、Facebookにとって極めて重要である。そうしたウェブ標準が持つクロスプラットフォーム的な性質があれば、同社は「iPhone」のような注目度の高いモデルだけでなく、さまざまなスマートフォン向けにアプリを構築できるからだ。Facebookの最高技術責任者(CTO)であるBret Taylor氏は、2月に開催されたMobile World Congressにおけるスピーチで、Facebookがウェブ標準のサポートをどのように改善して、より多くのモバイルデバイスへの普及を容易にするのかという点を説明している。
現在Facebookの「Android」アプリ開発を率いており、以前は「Firefox」のエンジニアリングを担当していたMike Shaver氏は、モバイルデバイス上では、現時点でウェブアプリはネイティブアプリにかなわないという欠点を指摘する。同氏は、Android向けのFacebookアプリは、Facebookのモバイルウェブサイトの「包み紙のようなもの」と語る。
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