Appleはマイクロペイメント方式による寄付サービス「Flattr」のApp Storeでの取り扱いについて数週間にわたり態度を保留していたが、同サービスを搭載したアプリの登録は認められないという判断を下した。Appleによると、同サービスの利用はサードパーティーを経由する支払いに関するApp Storeの利用規約に違反しているという。
FlattrのコミュニティーマネージャーであるSiim Teller氏は同社のブログで「このことは、iPhoneおよびiPad向けのアプリ内で利用されているFlattrの今後に、どういった影響を与えるだろうか?」と書いたうえで、「Appleはその真意や、ある種の新しい物事についてどの部分が規約に準拠しておらず、どうすれば良いかについてはっきりと教えてくれないことで知られている」と書いている。
「素晴らしいウェブコンテンツを支援しよう」というモットーを掲げているFlattrの考え方は、ブログやウェブサイト、ポッドキャスト、ビデオの作り手たちが、ユーザーにとって価値あるものを作り続けていけるよう、ユーザーが金銭面で支援できるようにしようというもの。ユーザーはウェブサイト上の「Flattr」ボタンをクリックして、お金を寄付することができる。
Flattrはサードパーティーの支払いシステムを使用しているものの、5月に入るまで、Appleは重大な問題と見なしていなかった。ところが、Appleは米国時間5月6日になって突然、有名なポッドキャスト管理ツールであり、Flattrを搭載しているInstacastのアップデートを却下したのだった。
Appleは却下の理由として、App Storeのガイドラインのなかの「寄付の収集はSafari上のウェブサイト、あるいはSMSを通じて行われなければならない」という一節を引用している。そして同社はFlattrに対して「あなた方のユーザーをアプリの外へと誘導するというのは、あなた方がユーザーに対して提供したいと考えているユーザーエクスペリエンスではないと理解している。しかし、こういったエクスペリエンスはさまざまなiOSアプリでよく用いられている」と伝えている。
Instacastがその後いくつかの変更を施したにもかかわわらず、Appleは先週、FlattrがApp Storeの利用規約に違反しているという最終決定を下した。
The Next Webによると、Flattrのアプリ内統合を受け入れられないとする明確な根拠がApple側にあるとはいえ、売上げの30%を徴収する自社のアプリ内課金システムと競合するプラットフォームに身構えすぎているのではないかと思われるという。
米CNETがAppleにコメントを求めたものの、本記事執筆時点までに回答を得ることはできなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス