アップル提訴における米司法省の勝算--専門家が見る電子書籍独禁法訴訟の行方 - (page 3)

Declan McCullagh Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年04月18日 07時30分

 和解を拒み、一切の不正行為を否定しているMacmillanのCEOのJohn Sargent氏は11日、書簡の中で、米司法省の提案はAmazonにあまりにも大きな力を与えるものなので、受け入れることはできないと述べた。「慎重な検討の結果、この条件を受け入れたら、われわれがエージェンシーモデルへ移行する前にAmazonが構築していた独占的な立場が復活してしまうおそれがある、という結論に達した」(Sargent氏)

 米作家協会(Authors Guild)の会長であるScott Turow氏は、さらに批判的だった。同氏は3月、公開書簡で、Amazonの価格設定は従来型の書店を廃業させるためのものだと主張し、エージェンシーモデルは競争を促進することで、Amazonの電子書籍に対する締め付けを軽減するのに貢献していると述べた。同氏は次のように書いている。

 Amazonは、電子書籍の値引きを利用して書籍販売を破壊し、物理的な書店が営業を続けるのを採算が合わないものにしていた。エージェンシーモデルが書籍販売の分野にもたらされてから2年が経過し、Amazonは電子書籍市場での支配力を失いつつある。同社のシェアは約90%から60%程度にまで低下した。従来型の書店はGoogleとの提携を通して競争に参入しているため、忠実な顧客はAmazonを利用するときと同じ価格で、そうした書店から電子書籍を購入できる。直販を行っている著者も恩恵を受けている。なぜなら、Amazonは競争に直面して、印税率を2倍に増やしたからだ。これは極めて辛らつな皮肉だ。われわれの政府は、見かけの競争を維持しようとするあまりに、真の競争を抹殺しようとしているのかもしれない。

 Amazonの広報担当者は4月11日、米CNETに対して、「これは、『Kindle』ユーザーにとっては大きな勝利だ。より低価格な書籍をKindleに提供可能となることを楽しみにしている」と述べた。

 もちろん、決定的証拠になり得る電子メールのような存在が明らかになる可能性がないとは言えない。1990年代には、「Netscape」の「息の根」を止めてやる、というMicrosoftの幹部が発した無作法な言葉が米司法省の独占禁止法訴訟の証拠として提出されたことがあったが、それと同じような事態になるかもしれない。

 ただし、まだそのような事態には至っていない。ノートルダム大学の法学部教授であるJoseph Bauer氏は、「Appleがこの件から笑顔で立ち去ることができる、と言っているわけではない」と話す。「政府はただ、Appleが当初の取り決めに何らかの形で関与したことを証明する必要があるということだ」(Bauer氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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