米国時間4月3日までは、3月に米YahooがFacebookを相手取って起こした特許侵害訴訟は、当然の結末に行き着くものと思われていた。つまり、Facebookは大金を支払って、新規株式公開と世界制覇を思うがままに進めるという、もっと重要な仕事に注力するのだろうと考えられていた。
しかしここに来て、結末は全く分からなくなった。
Facebookが行った逆提訴は、単なる防御手段ではない。Yahooが数週間前に起こした訴訟では、FacebookはYahooの10件の特許を侵害したとされている。今度はFacebook側が、YahooはFacebookの特許10件を侵害したと主張している。くしくも、その多くはYahooのビジネスに幅広い範囲で関係するものだ。
これは交渉戦術の1つなのだろうか。もちろんそうだ。そして今回のFacebookの逆提訴は、Yahooの上層部を神経質にさせるであろう、非常に強力な戦術だ。Yahooは既に疲弊している上に、この争いを仕掛けたせいでシリコンバレーの嫌われ者になっている。
「Yahooは、予想以上に気の強い競争相手に対して、不用意に争いを仕掛けてしまった」と語るのは、Y Combinatorの共同設立者のPaul Graham氏だ。同氏は自らの会社だったViawebを1998年にYahooに売却している。「FacebookがIPOを容易に進めるために和解するのではなく、反撃に出たことに、わたしは感心している。このような場合に和解に動く会社は多いし、Yahooもおそらくそう予想していただろう」(Graham氏)
知的財産の分析と評価を専門とする投資銀行MDB Capitalで知的財産部門のチーフを務めるErin-Michael Gill氏は、Facebookの逆提訴は、幅広いテクノロジを対象としている点で抜け目がないと語る。
「完ぺきだ。これはまさにFacebookがしなければならないことだ」とGill氏は述べた。同氏は2011年11月にヘッジファンドマネージャーのDaniel Loeb氏のためにYahooの特許ポートフォリオを評価したため、その内容に精通している。「Facebookは、数多くの製品や機能に関係した多角的な訴えを起こすという、非常に攻撃的な対応をした。同社は、1つのテクノロジをめぐる10件の特許ではなく、数多くのテクノロジに関連する10件の特許で反撃に出ている」(Gill氏)
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