初期段階での投資競争は、より白熱したものになるだろう。
JOBS法では2つの条項によって、株式公開前の企業が株式公開するかどうかを、また公開する場合にはその時期と方法を、より詳細に管理できるようになる。
まず、株式公開を望まない企業にとっては、非公開のままでいるのが容易になる。今後は、株主が500人いる場合でも、米証券取引委員会(SEC)への登録義務はない。新しい上限数は1000人で、会社の従業員はこれには含まれない。
シリコンバレーは、この変更を大いに歓迎している。これによって、評判が良く、成長しつつあるが、市場で評価される財務実績のない企業でも、柔軟に資金調達ができるようになるからだ。Twitterが良い例だろう。さらに、IPO申請書類の作成は、初期段階の企業の場合は極めて高い出費となることがある。これは、2002年のSarbanes-Oxley法があるためで、同法は、十分な成熟度に達していない企業から市場を守るために制定されている。
一方で、JOBS法の別の条項では、株式公開直後の企業に対して現在適用されている会計上の規制の一部が撤廃されるため、企業が希望すれば、より簡単に株式を公開できるようになる。売上高が10億ドル未満の「新興企業」は、IPO以降5年を上限として、Sarbanes-Oxley法の規制の一部を回避できる。こうした企業に求められる報告書の量が減るので、透明性の点では多少のマイナスとなるものの、新規公開企業の運営費用が減り、経営陣に自由を与えるものとして、シリコンバレーはこの変更についても歓迎している。
テクノロジや経済情勢における最近の変化によって、ウェブホスティングサービスの契約からフリーランサーの雇用、製造に至るまで、テクノロジ企業の立ち上げに伴うあらゆる費用が安くなっている。JOBS法はこの傾向に追随している。同法は資金調達の費用を低減するからだ。また、テクノロジの変化によって企業の製品が簡単に買えるようになったのと同じように、同法によって、個人が企業の株式を簡単に買えるようになるだろう。
しかし、資金が手に入るようになれば拝金主義が加速し、それが不正行為や訴訟につながる。また、JOBS法には悪影響もある。現在、この分野の経済活動に参加していない個人投資家のなかには、痛い目にあう人もいるだろう。それは当人の無知のためかもしれないし、だまされたためかもしれない。筆者が話をしたJOBS法の賛同者の1人は、同法にはメリットもあるが(「エンジニアが1人で起業するのが容易になる」)、スタートアップバブルが起きたときに(「もし起きたら、ではない」とその人物は言う)、個人投資家はそこに潜む危機に再びさらされるだろうと述べた。
JOBS法は現在、審議中である(本稿執筆時点)。下院を通過したのと同じ状態で可決されれば、新興企業についての情報量が飛躍的に増え始めるだろう。そして、その情報によってわれわれが行動を起こす機会も、おそらく増えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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