Cerevoは3月12日、ガジェット特化型クラウドファンディングサービス「Cerevo DASH」の提供を開始した。
クラウドファンディングとは、実現したいアイデアや作りたい製品、サービスなどのプロジェクトをサイト上に発表し、支援者を募るサービス。設定されている日数以内に支援者から目標とする金額を集めることでプロジェクトが成立。支援者は、支援した金額に応じて成果物を受け取ることができる。未達の場合はプロジェクトは終了し、支援者に返金される。
米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」では、すでに100万ドルの資金を集めるプロジェクトが複数誕生している。また国内でもハイパーインターネッツの「CAMPFIRE」やオーマの「READY FOR?」といったサービスが提供されている。
クラウドファンディングと言えば、海外では前述のKickstarterのように、ガジェットを取り扱うことも少なくないが、日本では寄付や社会貢献のイメージが強いプロジェクトやアート作品などが多いのが現状だ。
こうした流れがある一方で、Cerevo DASHは、ガジェットの提供に関するプロジェクトを専門に扱う。Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は「アイデアや熱い思いを持っていても、製品を届けるまでにハードルが高くてガジェットを提供できない個人や企業は多い。個人的にもさまざまな相談を受けてきた。そんな人たちにクラウドファンディングの仕組みを使って製品を世に出す環境を提供する。世の中にない製品を予約購入してもらうようなイメージだ」とサービスの意義を説明する。
クラウドファンディングを使って低いリスクで支援者を集めても、試作や組み立て、流通とガジェットの提供までには幅広い知識やノウハウが必要だ。これまでネット接続デジカメ「CEREVO CAM」やUstream配信端末「Live Shell」など、“ネット家電”を手がけてきたCerevoならではの支援を行っていくという。プロジェクト出品者に対して、アドバイスや業者の紹介などを無償で行うほか、試作や量産の支援サービスも提供する。また、有料でCerevoが開発を担当するケースもあるという。
また会社員など、自分ではガジェットの提供までできないという人であれば、発案者の名前を入れてCerevoブランドで展開し、レベニューシェアをすることなども検討している。そのほかCerevoの米国法人を通じて、通常米国の社会保障番号などがないと出品できないKickstarterなど海外のクラウドファンディングサービスに対しての出品支援も行う。クラウドファンディングの仕組みについては、ハイパーインターネッツと協業し、CAMPFIREのものを利用する。
プロジェクトの出品条件については、電気や自然動力を使った、広義でのガジェットを提供するのが前提。ただし、「何らかの試作機があるものにしたい。一番よくないのは『作れます』と言って、絵を描いても実際には技術的、法的な課題で作れないパターン。作れる能力、もしくは我々が協力して作れるかと言うことを審査する。極論、予算感を伝えて、Cerevoで作るということでも構わないと考えている」(岩佐氏)。プロジェクトが成立した際、集まった金額の20%を手数料(決済手数料含む)としてCerevoが受け取る。
Cerevo DASHの公開にあわせて、Cerevoでは自社製品「iConvex」のプロジェクトを発表している。iConvexは1.5mほどの巻き尺がついたアルミ製のiPhoneケース。専用アプリを使うことで、巻き尺の実寸より長いものや、箱などの縦横奥行きの合計などを計測した上、名前をつけて保存できる。また、iPhoneで撮影した写真の上に線を引き、計測した長さを表示した上で新しい画像として保存することもできる。45日間で100万円集まれば、プロジェクト成立となる。「日本でガジェット専門のクラウドファンディングは初めて。ガジェット好きの皆さんの反応が楽しみ」(岩佐氏)
Cerevoでは、すでに合計4点の自社プロジェクトを予定しており、順次公開していくという。あわせて「立ち上がれ、ニッポンのモノづくり!」をテーマに掲げて、広くプロジェクトを募集していきたいとしている。
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