筆者が話した情報筋によると、ほかの地域では、トラックでタコスを売るような家族経営の小さなビジネスがその立ち上げに必要な資金を調達するのに、クラウドファンディングは非常に役立つという。
大抵の中小企業は失敗するもので、テクノロジ系新興企業も例外ではない。JOBS法の下では、投資家が資産をすべて失うことがないようになっているものの、投資が無駄に終わった場合、多くの小口投資家がだまされたと感じることも考えられる。詐欺が起きる可能性があり、小口投資家による訴訟も増えるだろう。
Launchのような注目度の高いイベントも含めて、シリコンバレーで行われる多くのデモイベントは、厳密に言えば違法かもしれない。
米国の現在の規制では、株式を公開していない企業が資金調達について話すことを許されているのは、既知の適格投資家に対してのみだ。一般聴衆やメディアの前で資金調達のための宣伝をすることは合法ではない。
JOBS法が施行されれば、新興企業は自分たちが資金調達を行っていると公言できるようになり、デモイベントは透明性の高いものになる。そうしたイベントを一般の人々向けにストリーミングすることは合法になり、広報担当者は宣伝の中で、自社の状況と、自分たちが必要としているものについてより多くを語ることができるようになる。
また、McHenry下院議員が提案したJOBS法修正条項によって、AngelListのようなエンジェルネットワークや、Y Combinatorのようなインキュベーターに対する規制も緩和され、それらが代理を務める新興企業についての財務資料をオンラインに掲載できるようになる。シリコンバレーのいくつかのプラットフォームではすでにこれを行っているが、その合法性については議論の余地がある。AngelListの共同創設者であるNaval Ravikant氏が自らのサイトについて語る際に熟慮された慎重な話し方をするのは、この点も関係する(AngelListはJOBS法に強く賛同している)。
JOBS法の透明性に関する条項では、現代的なオープンで自由の高いコミュニケーションの中に、現行の金融規制の一部を組み込んでいる。こうした変更によって、多くの人が新興企業に関する文書を手に入れられるようになれば、新興企業はより厳しい財務基準に適合させるようになるだろう。
また、より多くの人が企業について知るようになるので、話題性のある新興企業の評価が上がる可能性もある。これは、シリコンバレーの従来型の投資家にとって、良い面と悪い面がある。話題の新興企業に対して、初期段階の投資取引を好条件でひそかに行うことは難しくなるだろう。しかし、企業が成長するにつれて評価が高まる可能性もあり、それは初期投資にとってのメリットとなる。
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